五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

五等分の花嫁の感想と考察(115話①)~四葉のけじめと五つ子姉妹ならではの葛藤の中で~

f:id:kitchan42:20191225103920j:plain

115話 五通りの朝より

114話「最後の祭りが風太郎の場合②」で風太郎が選んだのは四葉・・ただ今話を見る限り、すんなり付き合う事にはならなかった模様ですね。別記事で”振られた直後の姉妹たちの心情を書くと画期的”、”五つ子で同じ家に住むという特殊な条件なので最低限のフォローはするだろう”と書きましたが、今回はそれに準ずる内容が描かれました。クリスマス刊行話で甘い話を描かないところはさすがねぎ先生というところでしょうか!!
個人的にはこういう心情描写は嬉しいのですが、四葉が抱える問題がまだ解決していないこともあって思いのほか重い内容でした。

 

姉妹の反応はそれぞれ

家にいて顔を合わせるのが居たたまれないのか、みんな外出した感じでした。前の晩にはマルオと食事したというのはちと意味深に感じましたが、二乃の計らいだったのでしょうか!?それともマルオからでしょうか!?それにしても久しぶりの江端さん登場でした!

なぜか最後に四葉がいたのは波が打ちつける夜の岸壁。サスペンスや演歌の歌詞に出てくるような悲壮感漂う雰囲気でしたが、一方の風太郎は一花の指摘で「好き」と伝えていなかったことに気付き、信楽焼のたぬきに向かって告白の練習と能天気な雰囲気・・対照的な次の日を迎えた二人でした。


【一花】
売れっ子女優が駅で男と待ち合わせなんてマズいだろう!?という野暮なツッコミは辞めといて・・今話の一花はお姉さんぶりを十二分に発揮したという感じでしょうか!?

落ち込んではいるだろうけど学園祭初日から半ばあきらめ気味で四葉が選ばれることを確信していたのだから違和感はない対応。等身大の自分を見てくれる風太郎に惹かれたと語る姿はなにか吹っ切れた感じです。

まだ付き合ってないと知り、一瞬「人のものが欲しくなっちゃう」闇一花が出そうになるなど未練は残っていましたが、最後は”からかい上手の一花さん”でした。

ただ過去の二人の出会いを知っているのに、写真のことを含め何も触れませんでした。そのことも話したと思っているのでしょうか!?それともまだ足をためて機会を待つ感じでしょうか!?

 

【五月】
一花から二人がまだ付き合っていないことを聞き、出た言葉は「上杉君にこうなってほしいと望んだはずなのに・・」。最後は「皆のことを考えると素直におめでとうと言えません」と色々感じさせられる言葉のオンパレードでした。

112話「最後の祭りが五つ子の場合」では一花や二乃が五つ子であるがゆえの疑問を呈するなか、「私たちは五人でひとつ」「五つ子で良かった」など五つ子であることで同じ問題を共有できることを「幸せ」だと捉えていたにもかかわらずです。

今となって”五つ子であるがゆえの恋愛の苦しさ”が身に染みたのでしょうか!?それとも五月の中にあった恋愛感情が顔を出してのことなのでしょうか!?

そして何気に自分が風太郎を応援していたことを口にし、一花もそのことに何も言及していません。事前に何か話すことがあったのか、それとも五つ子ならではで話さずともわかり合えたのか・・

 

【三玖】
学園祭初日に「この恋の成就が不可能だって私は知ってる」と心の中でつぶやいていたとおり、選ばれなかったことに対しては覚悟ができていた感じ。よく二乃は振られてもすぐ立ち直りそう、三玖は落ち込みそうと言われていますが、個人的な印象では変化に弱く友達を欲する二乃に比べ、友達がいなくても自分の居場所を作りあげることができる三玖の方が気持ちは強いと思いますね。

実は修学旅行で四葉から応援された経緯や過去の出会いなどの色々な伏線に関係していない三玖がどう動くのかを注目していたのですが、全く想像の斜め上を行く登場の仕方でした。112話で二乃が言ったように謎のプライドが芽生えたのか(笑)

待ち合わせていたようには見えないので、三玖なりの叱咤激励にやってきたと思うのですが、どこを落としどころにするのか・・「四葉になり変わってフータローと付き合う作戦」なので嫉妬心や前田の「相手を独り占めしたい」という言葉を思い出しての独占欲を煽る作戦ではあるのでしょうが・・ここは次回を待つことにします。

 

【二乃】

「まだやらなくちゃいけないことがあります」

そう言って四葉が向かった先は二乃のもと。謝ろうとする四葉を二乃が突き飛ばし言い争うという険悪なムードが描かれていました。

そもそも姉妹で決めて各教室で待つ方式を取ったのだから、四葉が姉妹に謝る必要などないはずですが、姉妹への負い目もある四葉はそれでも謝りたかった・・

ただ気持ちを偽って三玖を応援していたのだから三玖に謝るのはわかる。一花の背中を押したのは95話「分枝の時②」で一応決着してるし、五月への依頼は90話「私とある男子②」で謝罪していますからね。
それなのに四葉は二乃に謝ろうとしている・・それも「昨日の事・・それに今までのこと、二乃に謝らなくちゃいけないと思って」という言葉で・・

「昨日の事」は姉妹で決めたことなのに選ばれる覚悟のないままあの場にいたことでしょうが、それだけならわざわざ外で待ち合わせして謝る必要なんてないでしょう。
果たして「今までのこと」とは一体何のことなのか!?五月に依頼したことや気持ちを隠していたことはみんなの前で言ってもいいはずなので、次のことが四葉の深層心理にあるように思います。(③④は個人的な推測によるものです)

① 昔京都の旅館で会った金髪の子は風太郎だと二乃に伝えていなかった

② 以前、二乃の姿になって風太郎に見破られた事があった

③ 踊る約束をしたキンタローは風太郎であることを二乃に伝えなかった

④ 二乃の好意に気付いたことをきっかけに抜け駆けで鐘キスをした

このようなことを口にするかは別として四葉は他の姉妹とは違う罪悪感を二乃に持っていてもおかしくない。なので謝罪的なものはあると見ていましたが、思っていた以上に激しいやり取りでした。突き飛ばされる前に四葉は何と言ったのか!?二乃の言葉を並べてみます。

「ふざけないで」
「もう一度言ってみなさい」

「あんたが私にそれを言う意味わかっている?」
「私がずっとフー君のこと好きだって知ってたはずよ」
「それがわかってて昨日を迎えたはずでしょ」
「今あんたに心配なんかされたくないわ!」

「それなら私とあんたはここまでよ」
「もしこのままの関係が続くようなら」
「姉妹の縁を切らせてもらうわ」

これを見ると、「ごめんなさい」などの謝罪や「大丈夫?」のような心配の言葉以外にプライドを傷つけ憐れむような言葉を言ったと推測できます。具体的には次のような言葉でしょうか!?

A「選ばれるなんて思ってもみなかった」

B「みんなの許しが得られなければ付き合わない」

ABとも覚悟を持って臨んだ自分がバカみたいに思える言葉であり、風太郎に対しても失礼な言葉です。憐れみプライドを傷つけるとなればBのような姉妹を言い訳や口実とするような言葉でしょう。

四葉の姉妹への負い目の原因は落第により姉妹に迷惑をかけたことですが、根源は零奈の言葉・・実は五月ではなく四葉に母の呪いがかかっていると感じます。その言葉の真意を理解できていないからこそ「もう誰が一番だなんて考えるのはやめよう」「私は皆のために生きるんだ」となったわけですからね。それが罪悪感を持つ二乃に対し顕著に表れたような気がします。

一方、二乃の心情はと言うと・・憐みの言葉をかけられたとなると屈辱でしかないわけですが、姉妹バカの二乃なので四葉にいらぬ心の負担をかけないようあえて強い言葉で拒否したと考えられます。二乃が四葉にいつも言っていたのは「変わりなさい」「自分のことも考えなさい」ということですからね。「選ばれたあなたは胸を張ればいい!」「覚悟を決めなさい」という思いなのだと思います。  

 

今後の展望は!?

今回の話は四葉の軟着陸とともにいろいろな伏線回収につながる話のように思いました。今後改めて風太郎から告白する場面があるのは確実でしょうから、そこで過去の出会いにも触れる形になると思います。

三玖が声かける直前に「上杉さんか皆かを選ばなくちゃいけない」「でも私は・・」と心の中でつぶやいていました。「選ばなくちゃ」という言葉からは一見、負い目から姉妹を選びそうに見えますが、見方を変えれば風太郎を選ぶという選択肢がきちんと入っているとも言えます。これまでの四葉の思考にはなかったことですね。「でも私は・・」の後は「選べない」でしょうが、三玖の煽りに対し冷静に言葉を返しているところを見ると二人の会話の結果、過去の清算に向け一歩前へ進めるのかもしれません。

ただ四葉が抱える問題を完全解決するには家族の手助けは不可欠。姉妹みんなが協力してというのもありますし、零奈の言葉の真意を知るであろうマルオの言葉なのかもしれません。もしかしたら他の姉妹も学園祭中にキスしたことが四葉の心の免罪符になるのかもですね。
でも呪縛を打ち消す言葉を用意できるのは好きな人のひと言・・風太郎が最後はカギを握るのでしょう!

 

一人を選ぶ結末なのだから姉妹間でのぎくしゃくは当然のこと。むしろハーレムエンドにしなかったのはここを書きたかったからなのかもしれないなぁ~とさえ思いました。
このマンガの読者層のニーズがここにあるかと言えば違うのでしょうが、個人的には「五等分の花嫁」というタイトルの意味にもつながるかもしれないところなのできちんと伝えてくれればいいなと思っています。

 

 

 ※本記事にて掲載されている画像は「五等分の花嫁/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。