五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

五等分の花嫁の感想と考察(114話②)~風太郎の決断が"誰も選ばない"から”四葉を選ぶ"となったのは~

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114話 最後の祭りが風太郎の場合②より

風太郎が愚直なまでに今の気持ちを言葉にしたことで四葉の心は解きほぐされ「好きです」と枷を解き放つことができたわけですが、ただこれだけ四葉に熱い気持ちを持っていたのなら、なぜ風太郎は一花に「誰も選ばない」と言ったのかという疑問がわきます。

単に高校2年からの積み重ねで好きになったのなら、こんな意味深な言葉を使わなくても済むはず。五つ子姉妹との時間を大切にしたいという思いがあるなか「誰かを選ぶ」と決断したのだから、迷ったり悩んだり恥ずかしがったりする必要はないですよね。ここはやっぱりその後の学園祭中に決断に至るきっかけや気付きがあったと考えるべきでしょう。考えられる場面と気付きの内容は次のとおり。

①竹林さんと一緒に行動する中で気付いた
→京都の子は四葉である
→京都の子に対する感情は恋愛感情であった

②約束を守れなかったと謝罪する言葉を聞き気付いた
→今話しているのは間違いなく京都の子である
→その人は四葉である
→約束を守れなかったことが枷となっている
→嫌われているわけではない

個人的には、②のやりとりで四葉を選ぶ決断ができたと感じます。特に約束を守れなかったことが枷となっている嫌われているわけではないの部分です。

学園祭二日目の夜遅く、一花に買って来たのは四葉にあたるであろうオレンジジュースでしたが、その時はなかなか選べずにいました。今回の告白を見ると四葉以外を選ぶことなど考えていなかったのだから、選べなかったのは今この時点で彼女を選ぶとすることが正しいのか判断ができなかったからに他ならない。四葉と再会して以降、風太郎の心の中ではこんな気持ちが渦巻いていたように思います。

「なぜこんなにいつも支えてくれるのか」

「なぜ京都の子は自分だと名乗らないのか」

「自分のことをどう思っているのか」

過去の記事に書いたとおり、これまで自分は91話「偶然のない夏休み」で出てきた"高校生のための恋愛ガイド"を買ったのは"自分の中に芽生えている感情の正体を確認するため”と思っていました。これは二乃や三玖への返答の仕方も含めてそう思ったのですが、それは間違いだったとわかりました。17話「夜の勉強会」で「二人は似た者同士」と一花が言っていたこともあって無意識に五月のイメージを重ね、恋愛オンチのように思っていましたが、恐らく風太郎は"四葉の気持ち"を知りたかったのだと思います。

落第で迷惑をかけた姉妹への負い目・・これが枷となっていることは56話「最後の試験が四葉の場合」の観覧車での会話ですでに気付いていました。81話「シスターズウォー 四回戦」ではその考えを諭していましたね。ただそれは四葉が姉妹や他人を優先することの理由にはなりますが、京都の子であることを隠したりいつも助けてくれたりする理由とはならない。風太郎がわからなかったのはそこなのかもしれませんね。読者にしか知らされていなかったその理由が四葉の謝罪の言葉で判明した・・自分との約束を大事に思ってくれていたこと、そして約束を守れなかったと負い目を感じているからこそ自分にこのような接し方をすることを・・

風太郎から見れば病院で話したとおり、四葉は自分のみならず他人からも十分「必要とされる人間」になっているのに「約束を守れなかった」と言うのは風太郎と四葉で約束の認識に違いが出てしまっているからでしょう。四葉が病院に搬送された際に何かあった可能性も残りますが、四葉の謝罪の言葉があったからこそ「誰も選ばない」から「四葉を選ぶ」に変わり、今の気持ちをぶつける熱い告白に繋がったと思っています。

 

・・Add!・・

ミステリー調の恋愛物語で姉妹から好かれる立場の風太郎だから、これまで心情の描写は姉妹以上にありませんでした。そのため読者は風太郎の気持ちを各自で推理し、推す姉妹が選ばれるであろう根拠にしていましたが、今話を見て思ったのは風太郎が思った以上に熱い男だったということ。

他の方もそう感じたのではと思いますが、風太郎の想いの強さの捉え方次第で色々な見方ができるよう設計されていたわけで、このように意図して構成したねぎ先生のすごさを改めて実感した次第です。

 ※本記事にて掲載されている画像は「五等分の花嫁/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。