五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

アニメ「Just Because!」の感想~高校3年の冬を舞台に5人の恋が不器用に動き出す様を描いた作品~

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©FOA/Just Because! 製作委員会より引用

2017年10月~12月に放映されたFOA原作のオリジナルアニメ作品。季節外れの転校生との再会によりなんとなく(Just Because)で終わろうとしていた気持ちが動き出すという内容で「さくら荘のペットな彼女」や「青春ブタ野郎シリーズ」を書いた鴨志田一氏が脚本・シリーズ構成ということもあって毎週楽しみに見ていました。絵はかなり荒っぽく動きもカクカクしている感じでしたが、比村奇石氏がデザインを手がけたこともあってキャラに個性があり個人的には好きなアニメでした。

以下、ネタバレ要素を多分に含みますのでご注意ください。

【あらすじ】
中学2年時に福岡に転校した泉瑛太は父親の転勤により4年ぶりに神奈川に戻ってくる。2学期の終わりに転入する高校を訪れた瑛太は中学時の親友である相馬陽斗、そして想い人だった夏目美緒に再会する。

同じクラスで吹奏楽部の森川葉月に好意を持つ陽斗は葉月を水族館へ誘い、同行してもらった瑛太と美緒、そして葉月の親友である乾依子とともにLINEグループを作り仲良くなる。

陽斗の想いを知る美緒、依子、瑛太の策略により二人きりの初詣となった陽斗は葉月に告白するも撃沈する。ただこれをきっかけに葉月は陽斗を意識するようになり向き合い方を模索・・神戸の大学に進む葉月は地元で就職する陽斗にお互いの生活が落ち着いたら付き合いたいと告白する。

写真部存続のために瑛太が被写体の写真をコンクールに出品したい小宮恵那は出品の了解をしてくれない瑛太に付きまとうことに。その中で瑛太の美緒に対する好意に気付き応援しようとする恵那だったが、次第に瑛太に惹かれるようになりとうとう告白・・返事は瑛太の大学合格後として別れる。

陽斗への好意を未だ隠そうとする美緒だったが、中学時から美緒の気持ちを知る瑛太にそのことを指摘され気まずい雰囲気に。このことがきっかけとなり陽斗への想いを断ち切った美緒だったが、雪で交通がマヒしたセンター試験当日、駅に駆けつけ試験会場まで同行してくれた瑛太を意識するようになる。

瑛太と恵那の関係が気になり二人を牽制する美緒だったが、最終的には第一志望校を姉と同じ翠山学院大学から瑛太が推薦合格している上叡大学に変更し、合格したら想いを伝えようと決意する。一方、昔から美緒を想っていた瑛太はそのことを知らず翠山学院大学を受験・・合格したら想いを伝えようとする。

想いがすれ違う二人・・美緒は無事に上叡大学に合格するも瑛太は不合格。失意のなか恵那の告白を断り高校を卒業した瑛太は大学で美緒に会い二人は気持ちをうちあけて・・

 

【好きな点】
恋愛物では定番の自分の気持ちを隠し友達の恋の成就を願うことから始まりますが、陽斗への思いを断ち切り瑛太への気持ちに気付いた後の美緒の動きにはビックリ!

受験直前に志望校のレベルを上げてまで瑛太が合格している上叡大学を目指し、一方、瑛太も上叡大学に推薦合格しているにもかかわらず美緒の目指す翠山学院大学を受験する・・

お互いに「合格したら想いを告げる」と決意する不器用な恋の進め方や、それをモチベーションとして合格を勝ち得る姿に素直になることの難しさと恋するパワーを改めて感じさせられました。

めぞん一刻」は携帯電話もない時代だったので、連絡がつかないことにより誤解したり喧嘩になったりとすれ違うことが多かったのですが、こちらはLINEでのやり取りが多く現代風なのに瑛太も美緒も頑固な性格のせいか意地を張って連絡を取ろうとせずにすれ違ってしまう・・やっぱり恋愛物にすれ違いは必須アイテムですね。

そしてもう一人のヒロインである小宮恵那がとても存在感があります。我儘で行動力があるものの実は内弁慶という子ですが、瑛太にかける言葉は的確で気持ちが籠っており、そして切ない・・瑛太が美緒を好きと早々に察し応援すると約束するも、自分を受け入れてくれる瑛太にだんだん惹かれていき告白に至る経過は前向きな言葉であるが故にとてもいい。

無愛想な瑛太も小宮が純粋でいい子とわかっているからフルことは決めていても話を聞く。一方の恵那も翠山学院大学に合格したら美緒に告白すると話す瑛太に対し、「瑛太が目指しているのだから」と合格を祈念する・・バレンタインチョコの代わりに近辺の神社を周って買い集めてきたお守りを渡すシーンは瑛太を想う気持ちが溢れており見ていて切なくなりました。

7話「Snow day」では恵那の「泉先輩のことなんだけど・・私デートに誘ってもいい?」との問いに「ダメ」と答え、8話「High Dynamic Range」では恵那との江の島デートに向かう瑛太に付いていき、恵那に睨みを効かせる美緒の姿はありそうでない名場面だったと思います。恵那がいなければ美緒は自分の気持ちにも素直になれなかっただろうし、瑛太も美緒に告白しようとならなかったかも知れない。結果的には二人を結びつけるキューピッド役を演じた姿は美緒以上に輝いていたと思います。

そして良かった点の最後は・・やなぎなぎさんが歌ったオープニング曲「over and over
やなぎなぎさんの歌は総じて良いのですが、この曲も大好きでした。オープニングなどの曲の良し悪しでその番組の価値が決定すると言っても過言ではない・・そう思わせてくれました。

終わり方を中心に人によっては好き嫌いが分かれる作品だと思いますが、高校生らしい恋愛劇を鴨志田さんらしさで仕上げた良作だと思います。個人的にはお気に入りの作品になりました。