五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

彼女、お借りしますの感想と考察~千鶴の恋心を言動と行動から読み取る~(21巻②)

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彼女、お借りします 180話より

千鶴の恋人観を聞いた和也はすぐに瑠夏に別れを切り出し「嘘を真実にしてしまえばいい」と考えました。玉砕覚悟でその時は真実を皆に話すとまで決心し告白しようとするわけですが、千鶴は言葉を遮るかのようにさっさと部屋に戻ってしまいました。そこで口にした言葉は・・

「・・もうっ 何よ・・今の顔・・!」

和也の勢いに気圧されたこともありますが、告白されると思ったのは間違いないですね。ではもし告白されていたらどうしたのか・・?

言葉を遮ったということはすぐさまとは言えずとも気持ちは受け取る用意があるという事。すぐに応えられないのは『レンタル彼女』の件があるからと一見見えますが、千鶴が一番気にしているのはおそらく瑠夏と和也の事。

瑠夏は仮カノと言えど和也の彼女・・ベタぼれの瑠夏が簡単に和也と別れてくれるとは思っていないでしょう。もし和也が別れを切り出すことだけで了承されたとしても、お試し彼女として進めた手前、瑠夏ときちんと向き合って覚悟を示さなければいけないと千鶴は考えるはず。傍から見れば略奪愛ですからね。千鶴の中でまだ気持ちや考えがまとまっていないこともあり、『まだ聞くわけにはいかない』という感じなのだと思います。

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彼女、お借りします 181話より

瑠夏は千鶴の気持ちも感づいており、千鶴の覚悟の言葉を聞けば問題はない感じ。問題は何を考えているかわからない麻美ですね。

ここに至って電車で麻美と会った事を思い出した千鶴。Cocoのバッグについてあれこれ聞かれたことを思い出し、和也の部屋に自分が部屋にいたことはすでにバレていると推測していました。何故今頃・・という感じですが、おそらく179話で麻美が和婆ちゃんに接近している事を和也から聞いたから。千鶴はその理由を考え、結果、不思議に思っていたバッグの件に行きついたのでしょう。

そのことを伝えるべく和也の部屋に上がり込み、今後は「刮目して相待すべし」と三国志故事成語を持ち出して警戒を約束・・三国志が好きな千鶴らしい言葉のチョイスでした。

それにしても・・「マミさんは気付いている 私たちがまだ会っていることに」後に語った「もっと先を想像してたって変じゃない」の『もっと先』とは何を言っているのでしょうか!?

「事態は思ってるより緊迫・・」という千鶴の言葉からは、2人の関係を和婆ちゃんにバラされることを危惧して・・とみるのが順当ですが、バッグから千鶴もあの時部屋にいたと気付いた?・・という話の流れから見ると少しかみ合わない感じ。本当の恋人関係になったと認識しているのなら、和婆ちゃんにバラす事も何もないわけで矛盾してしまいますからね。恐らく千鶴は和也との関係が"嘘"という事より"レンタル彼女"であった事の方を気にしているのでしょうね。もしかしたら『緊迫』という言葉もレンタル彼女を続けるかの決断が迫っていることを表したのかもしれません。

 

そんな中、麻美は大学構内で千鶴に接触してきました。175話では和也に接触を図っていたので満を持しての行動だったようです。

麻美が一ノ瀬ちづる=水原千鶴と思うきっかけとなったのは、麻美が和也の部屋を訪れた直後・・大学の廊下で和也とすれ違う際に掌をひろげ挨拶したのを見た61話と思いきや、183話を見る限り、海で一緒になった人の名が”一ノ瀬ちづる"と知ったことがきっかけだった模様。

クラファンサイトを見て一ノ瀬ちづるが和也の協力のもと映画製作協力金を集めたことを知ったことが決定打となったようですが、本名で女優活動しているのだからこのサイトに辿り着くのは容易。和也の部屋にあったカバンは千鶴のものと断定し和酒店のフォローをした時には同一人物とわかっていないので、それ以降に講義で名前を聞き注視していたとみていいでしょう。

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彼女、お借りします 183話より

麻美の「流石 女優」という言葉によりまんまとミスドに誘い込こまれた千鶴。そこで麻美に問われたのは女優一ノ瀬ちづるとしての和也との関わりでした。

和也の部屋にあったバッグは千鶴の物と断定し部屋にいたのか?という麻美の問いに小道具として貸したものと説明。忠告以降もお付き合いがあったのに嘘をついてごめんなさいと先に謝ることで、この事は和婆ちゃんとは関係ないとしています。つまり、現時点で麻美の口から和婆ちゃんに真実が伝わることを危惧しているわけです。

レンタルデートの結果、和也が自分に好意を持ってくれていることはわかったし、千鶴自身も和也に好意を持っている・・嘘から始まった関係ですが、今や両想いなのだからそこまで危惧する必要はないのになぜこんなにバレる事を怖がっているのか・・
和婆ちゃんが望んでいるのは跡取りという形式的なものではなく和也が健やかで幸せに育つこと・・なので過程は問題ではないのは明らか。正直に話せばその時ばかりのお小言で終わるように思えるのですが・・

その理由は和也の言葉(告白)を避けた理由と同じなのでしょうね。するべき事の整理がついた上で自分の口から和婆ちゃんに真実を話し謝りたいと考えるも未だ考えがまとまらないのが今の状況なのでしょう。和也と向き合い和婆ちゃんに謝りを入れるためには、レンタル彼女を辞めることが必須なわけですが、女優業が軌道に乗らない限り経済的に厳しいですからね。ただどうするべきか考えようとしていた矢先の麻美の接触により、時間的余裕がなくなってしまいました。

そんな千鶴の気持ちを見透かしたように以前とは全く逆の切り口で攻める麻美。以前は和也への好意を疑っていましたが、今回は和也を千鶴のストーカーと位置づけ自分は味方だというスタンスでの話しぶり。千鶴の本音を探るため敢えてそのように仕立てたのでしょうが、これを見る限り二人の関係が面白くなく、ただただ破局させたいように見えます。「何もかも全部終わりにしよ!」とまで言われ、千鶴はどう反応したのか・・・

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彼女、お借りします 184話より

帰って来た千鶴は着替えてすぐにバッティングセンターに直行!麻美の言葉に余程ストレスを感じたのでしょうね。来た球をひたすら打ちつつ考えていたことは・・

「マミさんがバラす気でいるのは間違いない」
「もうマミさんにあの人とヨリを戻す気は(ない)」
「マミさんが未だに黙っているのはなぜ?」
「もう打つ手がない」
「バレちゃう 和おばあさんに」
「バレちゃう 皆に」

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彼女、お借りします 184話より

和也の麻美にかけた言葉を思い出し「ダメ・・やっぱり伝え辛い・・」と考える千鶴。和也は未だ麻美の本性を知らず天使のように思っていますからね~和也の言葉を聞いている千鶴が「麻美の本性を伝えることは避けたい・・」と考えるのは至極当然。他人を悪く言うことで自分が嫌われたくないこともあるでしょうが、それ以上に和也を大事に思う気持ちがあって伝えきれないのだと感じます。

「その時・・私は・・」と決断するような千鶴を見る限り、何かしら英断をする模様。麻美から和婆ちゃんへの着信で終わったので間に合うかは微妙なところですが、おそらく真実を伝えるための電話ではないでしょう。みんなの顔が見れるところでバラさないと旨味がないですしね。和也から向けられた好意を天秤にかけざるを得ない千鶴・・一体どのように取捨選択するのでしょうか!?

 

※ 本記事にて掲載されている画像は「彼女、お借りします/宮島礼吏週刊少年マガジン」より引用しております。