五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

彼女、お借りしますの感想と考察~千鶴の恋心を言動と行動から読み取る~(18巻)

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彼女、お借りします 152話より

「今夜がヤマ」と医師に宣告された小百合婆ちゃんを前に、和也が問うた「俺たちの本当の関係を伝えなくていいのか」という言葉。その言葉をきっぱり否定するも病室の中では言うべきかと頭の中で押し問答・・映画も「見せられそうにない」とこぼす千鶴でしたが、そんな中、和也の機転によりパソコンとプロジェクターを使って病室で映像を流し、小百合婆ちゃんに自分が演ずる姿を見せることができました。

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彼女、お借りします 150話より

二人だけの銀幕の時間・・小百合婆ちゃんが目を開いていたのは最初の10分間だけで、その後は目をつむったまま。昔、小百合婆ちゃんが語った「たった一つの真実を表現できるなら99個の嘘をついたって構わない」という言葉を思い出し、本当の事を話すべきじゃないのかと再度悩む千鶴でしたが、そんな中、手をさし伸ばし「何か悩んでいるのね」と問う小百合婆ちゃん。そんなお婆ちゃんを前に千鶴は本当のことを言おうとしますが・・・結局口にできたのは「私・・ずっと嘘を・・」という言葉だけでした。

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彼女、お借りします 151話より

小百合婆ちゃんは「嘘」という言葉に反応し、「あなたが選んだ答えならどちらでもいいわ」と話しました。千鶴の「嘘」をお婆ちゃんはどう見たのでしょう? 

倒れる直前に「祖父母のためにと義務感を抱いて無理をしてはいないか」「私 夢を見るのは好きよ・・」というやりとりを千鶴と行い、その結果は勝人爺ちゃんに報告したことを考えると、女優を目指した事に「嘘」があるとは全く思わないでしょう。

となると考えられるのは和也との関係かレンタル彼女の事しかない。「知りたいとも思うし、知りたくないとも思う」と前置きしたのは千鶴を一人にしてしまう事をずっと気にかけていたからこそ。和也という恋人ができたことでそのことは解消したと思ったのに、その関係が実は「嘘」だったのなら、心残りで安心してこの世を去れないわけですからね。

和也との関係についてずっと「嘘」をつき続けてきた千鶴ですが、たった一つ真実があるとしたら・・それは和也を「好き」という想いでしょう。小百合婆ちゃんは和也の千鶴に対する気持ちは一度となく聞いているし、千鶴の和也に対する気持ちもその話しぶりなどから十二分に感じ取っていたはず。二人の「好き」という気持ち・・そこさえ同じで真実であれば、他が嘘だって構わないと小百合婆ちゃんは伝えたかったのかもしれません。

 

小百合婆ちゃんがこの世を去り、病室から出てきた千鶴に対し和也は「平気か?」「俺 ただの"お隣さん"だけどさ いつでも水原の力に・・」と声を掛けました。和也なりに言葉を選んでの声掛けだったわけですが、その言葉に千鶴は「・・・」と間を置き、振り返って「へいきっ」とひと言だけ返しました。

その姿がいつもの理想の彼女の"水原千鶴"に見えた和也は「自分が思うより強くて逞しくて一人で生きていけるすげー女なんじゃないか」という印象を持ったようですが、それを聞いたみには「一人で生きていける女なんてこの世にいないっス」と一刀両断。

そこに居るのは”水原千鶴”ではなく、”一ノ瀬ちづる”・・なのに「水原」呼びした挙句に自分を「ただのお隣さん」と称したのだから、千鶴としても強い"水原”を演じるしかない。とても悲しいですね~和也が彼女を”レンカノの水原"と見ている間は千鶴が心を開くことはありえないと強く感じます。

「瑠夏ちゃん」「麻美ちゃん」「墨ちゃん」と他はみな名前呼び・・レンカノ時の千鶴もヨミは"ちづる"なのだから"水原"ではなく"ちづる”呼びをしてはどうかと思うのですが、敷居が高いですかね・・思うに"一ノ瀬ちづる"という名前はとても堅い感じのする名前なので他の3人に比べ名前呼びしにくいのは確かですしね。ただこの名前の呼び方は今後キーとなってくるのだろうと思います。

 

結局、千鶴の気持ちを理解すべく墨ちゃんをレンタルした和也ですが、157話を見る限り、「正面から励ます」決断をしたものの、その方法は千鶴をレンタルしてのことのよう。レンタル彼女はこの作品の肝なので、その方法も当然考えられるわけですが・・

ただ『レンカノとしてこれまで何度も元気づけてくれた水原に今度はお返しをしたい!』という考えではまるで女心を理解していないと感じます。彼女が求めているのはレンタル彼女と客としてではなく、木ノ下和也から一ノ瀬ちづるへの励ましだと思うのですが・・果たして!?

 

※ 本記事にて掲載されている画像は「彼女、お借りします/宮島礼吏週刊少年マガジン」より引用しております。