「あそこではたらくムスブさん」の感想~理系女子との距離を縮めようと奮闘する男の恋物語~
【あらすじ】
湘南ゴム工業株式会社の営業担当だった砂上吾郎は総合開発部営業企画室に配属となる。そこは密かに思いを寄せる女性”ムスブさん”がいる念願の部署でした。
その儚げで透明感のある研究者、ムスブさん(近藤結さん)が日夜、研究開発を進めているのが「コンドーム」・・
彼女の研究開発の役に立てるよう努力する砂上だったが、理系女子で研究熱心な彼女との会話はコンドーム愛に溢れるがゆえに言葉に人一倍気を遣うことになる。いつも「自分を使ってほしい」と言ってくれる砂上にムスブさんの心は徐々に変化を見せ始め・・
【好きな点】
テレビドラマ化された「ラジエーションハウス」の作者モリタイシさんがゲッサン(月刊少年サンデー)に掲載するこの作品。初めは表紙絵のムスブさんの絵に魅入られて読んだのですが、1話10ページ程度のショートストーリーでテンポよく読み進められます。
内容的には「コンドーム」を研究開発する部の話なので下ネタ系の会話が当然入ってくるのですが、リケジョで研究熱心が故のムスブさんの言葉に対し、彼女に嫌われまいとひとつひとつの言葉を気にし過ぎてしまう砂上との会話が一番の見もの。好きな彼女のために努力を惜しまない砂上ですが、少々自己評価が低いこともあって二人の距離が縮まってきていると思うことができず、ちょっとしたことで一喜一憂する姿がとても微笑ましいです。
一方、ムスブさんの方はというと・・砂上を熱心で発想が豊かと話し、「会社に誰かいい人いないの?」と母に問われた際は、砂上のことを頭に浮かべ「親切ですごくいい人」と評していました。どんどんムスブさんの心に入り込んでいる感じですが、そこはリケジョのムスブさん・・その気持ちに気付いてはいません。
中高とも女子校出身で過保護な父を持つムスブさんは今でも片道3時間かけて実家から通勤・・そのため飲み会にもわずかの時間しか参加できないわけですが、今後、砂上との関りのなかでどのような変化が表れてくるのか・・意識し出しての会話や態度がどうなっていくのか・・とても楽しみです。