五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

カッコウの許嫁の感想と考察(27話)~私には笑顔 見せないんだ?~

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カッコウの許嫁 27羽目より

帰ってくるなりデートに誘ってきたエリカを怪訝に思う凪。セレクトショップとペットショップを回った挙句、らしくないジョギングを始めたことに凪はその理由を問うが、それを聞いたエリカはひろとキックボクシングデートをしているところを見たと話し「私には笑顔を見せないんだ?」と機嫌を悪くする。ひろとの仲を後押ししてくれていた経緯もあって意味がわからない凪と他の子とイチャイチャしていることに不満を持ち、自分が許嫁であると主張するエリカ。そんなエリカの様子を嫉妬と感じた凪は「俺のことが好きってこと」と問い、その言葉に慌てたエリカは「好きじゃない まだ!!」と答えてしまう。

 

【感想と考察】
ひろとの帰宅デートが描かれた前回。キックボクシングする二人を見て驚き、家では不機嫌な様子を見せていたエリカでしたが、今回は帰ってきた凪をいきなりデートに誘うシーンから始まりました。

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カッコウの許嫁 27羽目より

セレクトショップで凪の服を買い、ペットショップでヘビと戯れる・・どちらもエリカが考えて来たデートプランだったわけですが、そのどちらでもエリカは凪の顔を見て何かを確認する様子を見せます。結果、思い通りではないとしてジョギングを始めるわけですが、ここでエリカは勝負に出ます。らしくないジョギングを始めた理由を問う凪に返した言葉は・・

「じゃあ何でキックボクシングしてたの?」
「私・・見たんだけど」
「ひろちゃんとデートしてるところ!」

前回ジムでの二人を見て驚き、その後、ソファーに寝そべり不満な様子を見せていたエリカでしたが、運動をすることでひろとのキックボクシングデートの件に触れてくるなんて策士・・まるで旦那の浮気を問い詰める嫁のようです(怖)

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カッコウの許嫁 27羽目より

鼻の下を伸ばしニヤニヤへらへらしていたとの言葉に「好きな子の目の前でそうなるのは当たり前」と話す凪。そんな凪にムカついたエリカが口にしたのは次の言葉でした。

「私には笑顔 見せないんだ?」

今話のサブタイトルにもなったこの言葉はエリカの気持ちのすべてを表したものでした。要はひろとのデートで見せていた笑顔は自分には見せないものと気付き、おもしろくないと感じたわけです。他と比較しての物言いは女性特有の感覚というところなのでしょうね。その後の「私とのデートは楽しくないわけ!?」を見てもそう思います。

好きな相手だからこそ見せる表情というのは当然あるわけで凪が言ったことは正論!なのにその言葉にムカつき笑顔にこだわったのは凪に対するある感情がそうさせたと言わざるを得ない。

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カッコウの許嫁 27羽目より

その後は「それとこれとは別!」「話で聞くのと実際に見るのとでは違ったみたい」と感情がダダ洩れになり、「何で他の子とイチャイチャしているのよ?」「凪くんは私の許嫁だよね!?」とまで言ってしまうエリカ・・ここまで言ってしまうと鈍感系主人公ではない凪にはすぐに気づかれてしまいます。

凪はエリカの言動と行動を「嫉妬」と表現。エリカは自分が言った言葉の意味がわからなかったのでしょうね。それほど感情的になっていたという事でしょう。意味がわからないエリカに対し、凪が選んだのは次の言葉でした・・

「俺のことが好きってこと」

さすがに自分が口にした言葉の意味を理解したのか、大きく動揺するエリカ。慌てて否定しても「時すでに遅し」でした。

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カッコウの許嫁 27羽目より

"ちがう"と連呼していたエリカですが、直後に一層意味深な言葉を口にしてしまいます。

「好きじゃない!!まだ!!」

「まだ」と言う言葉に凪も読者も驚いたわけですが、エリカの最後の表情を見ると顔を赤くし照れていた様子・・この表情を見る限り、慌ててつい変なことを言ってしまったのではなく、ある決意のもと正直な気持ちを口にしたというのが適切なのかもしれません。

過去の話を振り返ると・・そもそもの出会いはラブコメにありがちな「最悪」ではなく「好印象」でした。1話では「結婚相手が凪くんだったらよかったのにな」と言っていたぐらいですしね。

まもなく親たちの陰謀もあって一緒に住むわけですが、生理的に受け付けないというようなことはまるでなし。むしろ性格が違うことでお互いを補完し気が合っているとさえ見えました。そんな二人なのだからいつしか好意が芽生えていてもおかしくない。エリカが凪に好意を示してこなかったのは、「まだ結婚したくない」という理由が大きく、決して結婚相手として凪が嫌なわけではないですしね。

ただひろと関係が進展することにここまでエリカが感情を抑えきれなくなるなんて、2話前には思いもしませんでした。

よくよく考えると許嫁の凪の存在があったからこそ実の親や妹に会えたわけだし、ひろという友達もできた・・人生が良い方に大きく変わったわけです。停電の中、アロマキャンドルを灯し話した24話ではそんな意味合いのことを話していたのでその気持ちに間違いはないでしょう。

そう考えると、ひろばかりが凪との距離を縮めることで新しく築いた関係が崩れてしまうのでは?と危惧してもおかしくない。許嫁で同居までしている相手が勝手に親友のひろとの仲を深めているわけだから面白くないのは当然です。

もちろんその前提には凪に対する思いがあるのでしょう。ただ「まだ結婚したくない」「今の楽しい関係を維持したい」とするならば、ひろと同じ立ち位置でいたいと思うのは十分あり得ること。

先般、凪は幸のことを妹ではなく一人の女性としてちゃんと見ると宣言しました。幸の気持ちは兄妹間の感情として理解できたようですが、その結果、自分の扱いも気になってしまった・・そういうことなのかもしれませんね。

 

ちなみに凪への好意をすでに自覚しているとしたら・・それはいつからなのか!?そして15話、遠足で「聞いたら運命変わっちゃうかもよ」とまで言った「届けたい人」はどう理解すればいいのか?

個人的にはこの時はまだ今回の言動や行動に繋がる気持ちはなかったように感じます。この時は凪とひろを二人きりにするためにシオンと一緒に離れようとしていたし、エリカの表情からは睦まじい二人の姿を見たくないと思っているようには見えませんしね。まあ今回のやり取りを見ると結構な演技派かもしれないのでわかりませんが・・

ただ16話で凪がその言葉を真剣に考えてくれていると知ったことは大きかったように思います。ひろが凪に興味を持ったのも覚悟を示す凪の言葉だったですしね。

最近では22話で「やるならとことん家出しようぜ」と言ってくれたことでしょうか!?父といつかは向き合わなくてはいけないと思っているエリカにとってこの言葉はとても心強かったように思います。

21話では幸の怒りに「別にデートくらいいいんじゃない」と言っていたエリカが、今話では「話を聞くのと実際に見るのとでは違ったみたい・・」とまで言っていたのだから、エリカの気持ちに変化が表れているのは確か。この2つの事がエリカの気持ちを変える大きな要因になったのかもしれません。

なお今回を経て「届けたい人」は昔会ったことがあるとして凪の可能性が高まったようにも思えますが、エリカのリアクションを見ると必ずしも「届けたい人」と今回の件が一致しているとは言えない感じ。個人的には実は一人っ子ではなく今はもう会うことができない兄(凪の実兄)がいたというのが展開的に面白いのにな!と思っています。

 

次回はこのやりとりの続きからなのか、それとも時間軸が進むのかはわかりませんが、二人が今まで通りに接することができるかは微妙なところ。海野家自宅と食堂の改装も終了し、凪と幸は実家に戻る展開になるのかもしれません。そうなるとエリカは父と向き合うことになるのか・・海野家の改築にはエリカ父も絡んでいる気がするし、今後の展開に目が離せません。

 

 ※本記事にて掲載されている画像は「カッコウの許嫁/吉河美希週刊少年マガジン」より引用しております。