彼女、お借りしますの感想と考察~千鶴の恋心を言動と行動から読み取る~(4巻②)
千鶴は和也にスマホケースをプレゼントすべく、クリスマスイブにアクターズスクール仲間の海くんとお出かけするわけですが、和也が昼から尾行していたことを知っても呆れるだけで特に嫌がる様子は見せませんでした。逆に彼氏面したような発言をされて後ろを向き照れる始末・・プレゼントを渡した際は海くんと出かけた言い訳をし、「瑠夏ちゃんを押し付けて悪いからお詫び」といちいち理由付けしている姿は何とも思っていない相手への言動ではありませんね。
そして注目すべきは”二人の秘密”と言う言葉を使ったところ。女優であることを明かさざるを得なくなり二人の秘密がまた増えてしまったわけですが、それは誤解を解いて関係を維持するための事。本当の彼氏ではないものの和也とのこの関係を心地よく思っていることが伺える言葉でした。
次のレンタルデート時には、客みんなにプレゼントを渡すことに苦言を呈す和也に「ここでハッキリさせたいことがあるの」と切り出し「あなた 私の事 スキ?」と問いかけました。なぜこのタイミングでこんなことを聞いて来たのか・・
「好きじゃねぇよ」と答える和也に対し特に表情を変えなかったわけですが、「恋人を続けているのはあくまでお婆ちゃんたちのためだし」と続け、「あなたに気持ちがあるとなると話が変わってくるから」と結論付けていました。
「節度を持って大人の付き合いをしましょっ」という言葉からは立場を確認して距離感を適切に保とうとしている様子が伺えますが、手をつないで歩く表情を見ると前話で使った"二人の秘密”の関係を心地よく思い維持していきたいという感じを受けます。
お試しではあっても背中を押した形で和也と瑠夏は付き合い始めたのだから、本来なら距離を置くべき状況・・なのに関係を維持しようとしているのだからこれは挑発に他ならない。
ここで「私の事 スキ?」と聞いたのは一度確認しておきたいと思っていたからでしょう。海で助けてくれた以外にも自分を心配しての行動や思わせぶりな素振りを見せるのだから自分のことをどう思っているのか気になって当然。
恐らく和也は否定するだろうと思っていたのでしょうね。千鶴としてもレンタル彼女をしながら女優を目指しているのだから、ここでスキと言われても困る状況。瑠夏から横取りする形にもなりますしね。
和也に対し想いはあるものの予定調和としてこの関係を維持したい・・そういう思いからわざと聞いたというところだと思っています。