五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

彼女、お借りしますの感想と考察~千鶴の恋心を言動と行動から読み取る~(3巻)

フェリー観光船から落ちた千鶴を和也が飛び込み助けるシーンから始まった3巻。意識がない和也に対し千鶴は人工呼吸を試み、なんとか一命を得たわけですが、その際に千鶴が叫んだ言葉は・・

「本当の彼女でもないのにこんなことするなんて」

「レンタル彼女だって言ってんじゃん!」

和也が好きなのは麻美であり、自分はあくまでレンタル彼女として嘘の彼女を演じてきただけ・・そんな千鶴にとって和也の行動は理解できなかったのでしょうね。初めはレンタル彼女として”お客さん”という言葉を使っていましたが、意識がないと気付き取り乱した挙句のこの言葉・・

確かに本当の彼女ではないですが、彼女を演じてくれていた千鶴が海に落ちたのだから救おうと思うのは当たり前の事。危険を顧みず海に飛び込むまでできるかは別として動機としてはおかしくないでしょう。なのにこんな言葉が出てくるのはやっぱり、和也の麻美への想いを聞いたからに他ならない。「自分はレンタル彼女なのだから・・」と言い聞かせていたという気がしますね。好意から来る言葉とまでは思いませんが、いつも「迷惑をかけた」と謝る和也を見て何か思うところがあったのでしょう。

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彼女、お借りします 15話より

救急車に乗る際、「水原・・っ」と声をかけ礼を言う和也に木部は不思議がっていましたが、そんな和也に「当然でしょ・・彼女なんだから」と返答していました。

和也の口からみんなに別れ話をしたのだから、この場面でわざわざ"彼女"と強調する必要はないのですが、敢えてそうしたのは「あそこまでしてくれて」と和也が言ったからでしょう。つまり人工呼吸したことを意識しての事であり、あくまで仕事の一貫としてやったんだと和也に伝えることで誤魔化そうとした・・
救急車に乗ってからは飛び込んで助けようとする和也を思い浮かべながら顔を真っ赤にしていましたので、間違いなくそういう事なんだと思います。

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彼女、お借りします 16話より

退院後、アパート前で出会った際は、和也と顔を合わせにくい様子で、それまでとは違ってかなり意識している感じでした。この一件は千鶴の中で和也に対する認識を大きく変える出来事だったのは間違いないでしょう。

人工呼吸をきっかけに千鶴を好意の対象として意識するようになった和也は、大学で顔を合わせた千鶴に動揺するわけですが、そんな和也に対し「せっかく友達に別れたと切り出せたのにすべて元の木阿弥」と叱りつけました。
直前の話では和也を意識する様子を見せていましたが元の千鶴に逆戻り・・なぜ?と思うところですが、あんなことがあったにしろ結局別れるという話のままだし、和也が麻美を好きなのは変わらないと思っているのだから、千鶴としては別れた前提で動くしかないわけです。 

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彼女、お借りします 19話より

その後の温泉への快気旅行では、双方の婆ちゃんの策略により二人は同じ部屋に泊まる羽目になるわけですが、婆ちゃんたちに別れたと伝えることを躊躇し「許されるならレンタルしたい」と話す和也に「いいよ・・もう少しだけレンタルされてあげる」と千鶴は答えました。

風呂に行く前には「私は別れたって話すから」と言っていたのですが、食事の時は和やかな雰囲気に・・風呂での和婆ちゃんとの会話でまた流されてしまったのでしょうか!?

婆ちゃんたちに本当のことを伝えるには本物の彼女を作ることが一番と話していましたが、言い換えれば「本当の彼女を作るまでは彼女として振舞ってあげる」ということ。何気に和也のそばにいるポジションを確保した形です。海で助けられたことで和也を意識するようになり、関係を維持したいという気持ちが芽生えていたのだと思います。

 

茶店デートの後に会った栗林にダブルデートを提案され二人は行くことになるわけですが、栗林の彼女としてやってきた更科るかに目が釘付けになる和也を見て千鶴は軽蔑のまなざしを向けていました。他の女性への視線に感情を示したのは初めての事。「麻美ちゃんを好きなくせに可愛ければ誰でもいいの?」とでも思ったのでしょうか!?

その後は飲みかけのジュースを渡すなど彼女らしく振舞っていましたが、なんか今までより打ち解けた感じ。和也は「励ましてくれている」と理解したようですが、実際はどうだったのでしょう・・指を間に挟むキスでしたが、躊躇なくやる姿を見るとこれまでより距離が縮まっている感じを受けました。

 

※本記事にて掲載されている画像は「彼女、お借りします/宮島礼吏週刊少年マガジン」より引用しております。