五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

五等分の花嫁の感想と考察(122話①)~五姉妹と風太郎の恋物語は6人の絆をもって完結に至り~

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122話 五等分の花嫁より

121話「五分の一の確率」の最後で五つ子ゲームをすることが決定。今回はその五つ子ゲームで皆を当てる様と結婚披露宴の様子が描写されていました。最終話という事もありページ増量となったわけですが、その分は五人全員を見分けていく風太郎の描写にほぼ充てられ、結婚披露宴も新郎や新婦の挨拶ばかり・・二人揃っての描写さえありませんでした。

ドラマにしろアニメにしろ、最終話は期待するような内容ではなくサラッと終わるのが常なので、多くは語られないだろうなとは思っていましたが、おおよそイメージ通りでした。

 

五つ子ゲーム ファイナルは控室で

68話「スクランブルエッグ⑧」で指輪交換を先延ばしした描写があったため、五つ子ゲームで四葉を当てた後、披露宴の中で指輪交換するのかな?と前話の考察で書きましたが、結局、控室で行う儀式のみでした。つまり実際は指輪交換も滞りなく終わっており、このシーンは指輪を忘れてしまった風太郎が結婚式前に控室で見ていた夢だったのでしょう。

 

鐘キスしたのは四葉と判明

61話「スクランブルエッグ①」での「五年前のあの日を思い出して・・初めてじゃないでしょ」は夢ではなく実際にあった言葉のようです。鐘キスのことは結婚披露宴が終わるまで風太郎に知らせていなかったようですが、四葉は「鐘の下でのキスは初めてじゃないでしょ」と暗に伝え「鐘キスは自分だ」と示唆したのでしょうね。

「私に気付いてくれる人がいるから」と暗に鐘キスの本人であることを伝えられ、風太郎は驚きの表情を見せていました。鐘キスについては動機ではなくその後の態度の変化具合から四葉で間違いないと推測していたわけですが、今回の表情を見る限り、風太郎は願望込みで四葉だよなと思っていただけで確証を得ていたわけじゃないようですね。
結局、68話の「きっとあの日からだ・・彼女を特別に感じたのはあの瞬間から」は結婚披露宴後に四葉から聞いて思った言葉だったのでしょう。

披露宴後にくつろぐ中での会話で「実は高3の学園祭でも・・」なんて話があったのでしょうか!?そういえばそのシーンの風太郎は着ている服が違うと話題になり、単行本でも修正されなかったわけですが、結局、風太郎の夢だったという事なのでしょうか!?

 

ウエディングドレスはミスリード

10着以上あったウエディングドレスは五つ子ゲームのみに使用し、全部を使うことはありませんでした。ドレスを借りるとなると短時間でも結構な金額がかかるわけで、もしかして五つ子ゲーム自体もミスリードで夢の話だったのか!?とも思いましたが・・前話からの流れもあるし、ここは実際にやったのでしょう。

 

プロフィールムービーは描写されず

作中、写真や映像の描写が数多くあったので、それらを利用したプロフィールムービーにより過去の色々なことが明かされるのかなと期待していましたが、そういうことは全くありませんでした。

プロフィールムービーは一般的に新郎新婦がお色直しで中座する時間に流すことが多いのでちょっと趣向をこらしたやり方を行い、最低でも例のツーショット写真は出てくるのではと思っていたのですが・・残念!

 

マルオに係わる謎は回収されず

個人的にはマルオは姉妹たちの父ではなく未成年後見人ではとの考察をしてきましたが、今回の四葉の「新婦の手紙」を見る限り、父で間違いない模様。養子縁組制度において未婚男性が子を引き取るのは容易ではないので、普通に零奈と籍を入れて結婚していたという事なのでしょうね。子に会わずに籍を入れていたという事自体はかなり疑問ですが・・

そしてマルオがなぜ風太郎に家庭教師を依頼したのかという点も触れられませんでした。一般的に年頃の娘に同年の男の家庭教師をつけること自体不自然だし、それも仲が良いとは必ずしも思えない勇也の息子に依頼しているのだから尚更不思議でした。高3では6人みんなを同じクラスにするなどマルオは風太郎に固執している感じもありましたしね。四葉風太郎の京都での出会い以上に物語での大きな出来事だと思うので知りたかったところでした。

 

らいはの描写はほとんどなく

スクランブルエッグ編までは五月と共闘していたような感じで存在感を示していたらいはですが、最終話でも最低限の登場にとどまりました。そもそも京都で「妹に不自由ない暮らしをさせてやれるかも・・」という誓いがあったからこそ今の風太郎に繋がったわけなので、らいはに向けた言葉などの描写が少し欲しかった気がします。

 

招待客の描写は極めて少なく

招待客は前田が友人代表のスピーチをしていたようですが、その他はケーキ屋店長&パン屋店長しか描かれませんでした。それにしても友人スピーチを頼んでいるのに32話「結びの伝説2000日目」では「覚えているさ・・前田だろ」なんて会話をしたのは違和感アリアリですね。ケーキ屋&パン屋店長は結構な存在感を示していたと思いますが、最後まで名前が明らかにされなかったことは残念至極です(泣)

武田は宇宙飛行士になる夢に邁進しているだろうから式を欠席しているのもわかるし、四葉も親友らしき子の描写はなかったのでやむを得ない所ではありますが・・何か友達少なすぎ(笑)

そして最終章ともいえる115話以降において、上記のメンバー以外は誰も描かれませんでした。個人的には結婚式前の話で竹林さんが登場しないかな!?と期待していたのですが・・残念。

 

最終話を読み終えて

タイトルに花嫁とあるので結婚式は丁寧に描くのかと思いきやそんなことはありませんでした。おまけにこれまで作中で示された結婚式の描写は風太郎の夢の中での映像がかなり入り混じっていたことが判明。学園祭編以降は時系列順の入れ替えも多く、何が何だかわからない感じになってしまいました。そのことに意味があればよかったわけですが、読者をミスリードしたいがためだった・・としか見えないのが悲しいところ。

ミステリー調な展開や五つ子の絆が枷になり恋愛物語にしては心情の描写がとても少なかったわけですが、114話「最後の祭りが風太郎の場合②」で四葉を選んだ後も主人公である風太郎の心情が語られずじまいなのはビックリ!!

当然、物語の構成として一定の心情描写を行い、あとは読者の想像に任せるという手法もあるわけですが、それはあくまで一般的な構成の話の場合。この物語のように心情描写を最低限でしか書いてこなかった場合、読者が想像するにも限度があるのだから、丸投げされたように受け取られても仕方なし。

確かに114話で風太郎が印象に残っている四葉の回想はあったし、今話でも姉妹一人一人に言葉をかけていましたが、読者が満足できていない理由は風太郎が114話の回想シーンの時々にどう思ったのかが言葉になっていないから・・今回、姉妹へかけたような畏まった言葉ではなく、その時々に感じたことが幾分かでも描かれてさえいれば、風太郎に感情移入できてある程度の満足感が得られたのだと思います。

そして過去の京都での出会いについては匂わせただけで何も触れずに終わりました。このことは四葉を選ぶことに何も影響しなかっただけではなく、一花の「全部嘘だよ」の想いも、五月の零奈としての奮闘も、そして四葉の約束を守れなかった苦悩も全部読者へのミスリードで茶番として処理したという事。最後まで五姉妹全員の花嫁の可能性を維持するために、過去に何も関わってない姉妹レベルに合わせた結果、単に「高2の秋に出会った少女に風太郎は恋をし、5年後に結婚しました」・・という極めて凡庸な内容の物語になってしまった気がします。

他の恋愛物のマンガと比べどうなのかというと自分はこの物語を上位に評価することはできません。理由は主人公の風太郎の心情描写が圧倒的に不足してしまったから。

ミステリー調の内容に興味を惹かれ、たくさんのブログ記事を書いてきたわけですが、恋愛ものらしい心情描写が少なすぎて登場する誰にも感情移入も思い入れもありませんでした。推理小説なら感情移入できずともいいわけですが、恋愛ものの場合、それは物語の深みに直結する重要なことだと思います。

単独ヒロインものは「どうやって結ばれる」という過程が重要ですが、この物語のような複数ヒロインものは「誰と結ばれる」がすべて・・そのため途中、選ぶ側の心情を書けない部分も多いのは承知していますが、後にそこを回収するのは物語の醍醐味でもあり、その作品の魅力を大きくアップする重要な要因と思います。ただ114話で四葉が選ばれたのちも姉妹との絆の話に長く割いたことを考えるとこのマンガは恋愛物語というより姉妹たちの絆の物語だったのかもしれませんね。

このマンガのタイトルに使用されている「五等分」という言葉についても、風太郎は伴侶として四葉を選んだのだから、前話のサブタイトルに使用された「五分の一」の方が本当は適切・・ただ今更ながら五つ子ゲームをするという失礼を受け入れたのは、四葉のみならず風太郎も五つ子姉妹の絆を大事に思っているからこそと考えると「姉妹の絆を五等分」にした花嫁という意味だったのだと理解しています。

風太郎の心情等は今後、アフターストーリーとして描かれるのかもですが、まずは本編の評価が第一。最終話は感動できる内容だったと思いますが、物語の最終章全体で捉えると恋愛物語としては何か物足りないと感じるものとなりました。

 

※本記事にて掲載されている画像は「五等分の花嫁/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。