五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

五等分の花嫁の感想と考察(108話②)~四葉はどうやれば呪縛を解くことができるのか!?~

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108話 最後の祭りが四葉の場合②より

四葉風太郎から目を背け続ける

過去に風太郎が好きだった子の登場でも呪縛を解けなかった四葉・・眠りこけている風太郎に過去との決別を宣言したものの、その後は「だからこれが最後」「最後の思い出作りだもん」と”最後”を連発・・「これで私も前に進める気がする」「うん これで・・私も・・」と自分に言い聞かせている様子からはとても区切りがついたとは思えませんね。一体どうすればこの呪縛を解くことができるのでしょうか!?
 

今までも何かと自己犠牲に走りがちな四葉に対し苦言を呈してきた風太郎ですが、四葉はその言葉を受け入れきれずにいます。その理由は今話の「がっかりされたくないんです」に表れているように風太郎に対する劣等感や罪悪感から来るもの・・最後の四葉の告白も竹林さんの接触や自分を顧みない行動でみんなに迷惑をかけたこと、そして風太郎が結論を出す時が近づいてきたからこそであり、風太郎の言葉を心から聞き入れたわけではありません。

以前の記事で四葉の行動は風太郎への負い目から来るもので”風太郎に認められたい”と言う欲求が本質・・これまでのような苦言ではなく一旦拒否し受け止めることが必要!と書きましたが、今回で本当に過去を振り切り、自分のために進んでいくのならもうこれは必要ないでしょう・・ただ「最後の思い出作り」と泣きじゃくるように風太郎への想いから目を背けるための口実ならば・・呪縛をかけた本人がどうにかするしかありませんね。

 

四葉の呪縛を解くのに必要なことは

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108話 最後の祭りが四葉の場合②より

元々は落第した自分に姉妹がついてくる形で転校させたことへの罪悪感だけだったのが、風太郎と再会したことで「試験成績面でのあまりの差異」からくる劣等感や「約束を守れなかった」という罪悪感まで抱えてしまい、その後の姉妹の恋心もあって自分の気持ちを益々言えなくなってしまったことが呪縛の始まり。「約束を守れなくてごめんね」のあとに四葉が言った言葉は
 

「もう君との思い出に頼らない」

「自分で自分の価値を探していくよ」

これはつまり風太郎との思い出に縛られ、”認められたい”という承認欲求で行動するのではなく、自分のやりたいことを探していくという意味なのでしょうか!?一花からも95話「分枝の時②」で「四葉四葉の本当にやりたいことを探しな」と言われていましたしね。

それはいいと思うし、過去を割り切り風太郎に向き合って進んでいくのなら問題なしですが、泣きじゃくる姿からは過去とともに思い出も消してしまおうとしているのではとすら思えます。もしそうならあまりにも極端な考え・・当日夜には風太郎が選んでくれるかもしれないにも関わらず、「最後の思い出作り」発言をすることに距離を置こうとする気持ちがアリアリと感じ取れます。

呪縛を解く方法は・・それをかけてしまった風太郎と姉妹が言葉をかけていくしかない。具体的には次のような内容でしょうか・・

風太郎も過去を清算する言葉を四葉に伝える
最近、風太郎は何かと自分を卑下した発言をしていました。具体的には92話「秘密の痕」では「こんな俺を選ぶなんてどうかしてる」、100話「俺は何もない空っぽの人間だから・・」などですが、心理的には「勉強以外は全くダメ」という意識を強く感じます。

思い返せば89話「私と姉妹②」では「私が姉妹で一番で特別なんだ!」という意識から姉妹を見下す黒薔薇女子高時代の四葉が描かれていましたが、風太郎も中学時から高校2年の一学期までは学業のみに邁進し家族以外の人間関係まで切り捨ててきた経緯があります。要は自分以外の存在を見下していたところは同じで、二人とも”正しい努力”ができないまま5年間を過ごしてきていたわけです。

今回は「約束を守れなくてごめんね」と四葉風太郎に謝る形でしたが、過去の清算四葉だけでなく風太郎もすることが四葉の呪縛を解くのに必要なのかもしれません。

②お前は「必要とされる人間になっている」と伝える
今回、風太郎は107話「最後の祭りが四葉の場合①」で四葉が言った”持ちつ持たれつ”と言う言葉を使って諭していました。四葉がその言葉を使った時の風太郎の表情は「よくそんな言葉知っていたな」なのかと思いきや、今話での引用や病院を抜け出そうとすることを見透かして一花を送った後に病院に戻っていたのを見る限り「お前がそれを言うのか!?」ということだったようです。

背景にたこ焼き屋台の出店停止に対し四葉が責任を感じるであろうこと、ムリするであろうことは気づけたはずなのに・・という思いが風太郎にあったようで、倒れて色々な方面に迷惑をかけた今回はじっとしていられるはずがないと思ったようですね。

前話で「お前がいてくれてよかった」と感謝の言葉が出てきたのは、四葉にいつも頼ってしまっており申し訳ないという意識があったからこそで、だからこそ”たまには自分にも頼ってほしい”、"四葉の役に立ちたい”という思いがあったのでしょうね・・今話の「たまにはお前が持たれたっていいんだ・・託してくれ」を見てもそう思います。

よくよく考えると約束の目的は「勉強を頑張る」ではなく「必要とされる人間になる」こと・・何かと頼られる四葉に羨ましいという思いがあったとしてもおかしくない。四葉は母の言葉も間違って覚えていたようですが、ここでも手段と目的をはき違えているようです。

本来の約束に加え「お前は俺を含むみんなに必要とされる人間になっているじゃないか」と伝えることも一手なのかもしれません。まあ悪手になる可能性もありますが(笑)

③過去への感謝と今の想いを正直に伝える
前述のとおり、風太郎は四葉のことを気にかけているのは確か・・それは四葉の考え方を危惧していることもありますが、時折凝視する描写など四葉に対する態度や表情、言葉には他の姉妹に向けるものとは違う特別感があります。その特別感は京都で出会った子と四葉を重ね合わせているからのようですが、ただその子が誰だったかを明らかにし、お礼を言いたいだけなら姉妹の誰かに聞けばいいこと。それをしないのは、すでに自分の中で何らかの気付きがあるからこそ・・五つ子を見分けることを祖父に課せられているので自分で見分けたい・・恩人なので間違えられない・・という気持ちもあるでしょう。もしかしたら四葉と特定しているものの、その理由を知るからこそ敢えて本人から申し出るのを待っていたのかもしれませんね。もしそうだとしたら風太郎が眠りこけた状態ではあったものの「ずっと約束を覚えてくれてありがとう・・ごめんね 」と四葉が伝えたことでこの部分の乖離は解消された可能性があります。

風太郎の中にある感情は感謝ではなく好意によるものだと43話「七つのさよなら⑤」で二乃は言明していましたが、風太郎はその感情の正体がわからないからこそ今に至り、「誰も選ばない」といった発言になったようにも思えます。京都の思い出の子への想い(好きな気持ち)をその正体である四葉に持ち込んでいいのか・・と言う葛藤もあり得ますね。

86話「シスターズウォー エキシビションマッチ」では五月が変装した零奈に感謝の意を述べましたが、四葉に対してはまだきちんと伝えていません。過去の感謝とともに、これまで思ってきたことや今の想いを正直に話し、”二人の関係は過去だけでつながっているわけではない”と伝えることが重要と感じます。

④姉妹からの叱咤とフォローを受ける
風太郎が四葉を選んだり、好きだと伝えたりしたら・・きっと四葉は逃げるのでしょうね。つまり風太郎が追う形になるわけです。その時、72話「学級長の噂」で「誰を好きになってどんな恋をしたとしても全力で応援します」と約束したことが効いてくることになりそうですね。

また今話では「6年前のあの日に逸れたものがいるか?」と竹林さんが二乃と五月に確認する様子が描かれていました。風太郎の幼なじみとして二人を挑発した彼女がそんなことを聞いたとしたら・・五月は知っているからピンと来たかもしれませんが、二乃はなぜ?と思うでしょうし、五月に確認したかもしれません。そして二乃も43話「七つのさよなら⑤」で風太郎から関連する話を聞いているので、その風太郎の想い人は四葉だと気づいたかもしれませんね。そうなると四葉風太郎の思い出の子と知るのは一花、二乃、五月となり、着々と包囲網が敷かれています。風太郎への恋心から逃げる展開になれば姉妹からの叱咤を含めたフォローもありそうです。

 

最後に・・本話だけを見ると一見報われない結末のようですが、四葉の一方的な考えでの結末であり、風太郎の気持ちは全く反映されていませんね。要は恋愛ものでは王道の”気持ちのすれ違い”を生む素地がそこに生まれたということ・・最近はミステリーマンガと思って読んでいましたが、少し恋愛マンガらしくなってきそうです。