五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

めぞん一刻を考察して④~響子さんの惣一郎さんへの想い~

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めぞん一刻 31話 及び 35話より

響子さんの惣一郎さんへの想いはどのように変わっていったのでしょうか?響子さんが言ったことばでそれがわかるものを並べてみますと次のようになります。

 第8話「惣一郎の影(1981年5月頃)」
「惣一郎さんは、まだ死んでいません・・まだ・・だめなんです」

 第11話「三鷹、五代!!(1981年初夏)」
「私が忘れたら惣一郎さんは、本当に死んでしまう」

 第29話「私は負けない!(1982年4月)」
「自分がどうしたらいいのかわかるまで・・惣一郎さんの性を名乗っていたいんです」

 第31話「三年待って(1982年5月)」
「今の私になにを言っても仕方ないのに・・」
「時間がたったらどうなるかわかんないけど、今はね・・」

 

第11話「三鷹、五代!!(1981年初夏)」までは傷心が癒えるまでまだまだ時間がかかるという感じですが、第29話「私は負けない!(1982年4月)」ではそれまでに比べだいぶ前向きな言葉になっています。

第31話「三年待って(1982年5月)」以降は惣一郎さんを思い出して悲しんだり頼ろうとするシーンはなくなり、惣一郎さんが出てくる場合でも普通に思い出話をするようになります。

第35話「ふりむいた惣一郎(1982年7月)」では郁子ちゃんから「惣一郎おじさまのことまだ覚えてる?」と聞かれ「そうねえ、でも・・このごろは痛くなくなったみたい。ちょっと前までは惣一郎さんを思い出すとね、このあたりが、きゅ~っと痛くなっちゃって・・」と答えるぐらいですのでだいぶ心の傷も癒えたような感じです。

第52話「配達された一枚の葉書(1983年3月頃)」では惣一郎さんの古い日記を見るのですが、続く第53話「子供のいる情景(1983年4月)」では特に悲しい感情がわいたわけでもないようです。

第68話「宴会謝絶(1983年12月)」で五代くんのことを「好き」と自覚し、第77話「春の墓(1984年4月)」では惣一郎さんに再婚をほのめかすような言葉を伝えるのですが、それ以降、第160話「桜の下で」以外は第100話「桜迷路(1985年4月)」、第108話「二人の旅立ち(1985年7月)」など基本的に五代くんへの想いから惣一郎さんが登場しています。

このように見ていくと響子さんは一刻館に来て約1年半と比較的に早い段階から現実を見つめようとしていたようです。

第107話「閉じられた扉(1985年7月)」までは「ほかの誰かを好きになったら惣一郎さんへの想いがウソになる」という想いはあるものの、それはあくまで「五代さんが私のことを好きなんだ・・」と自分の気持ちをごまかすことの理由付けで、そんなに惣一郎さんへの想いを深くは考えていなかったようにも思えます。これは響子さんの好きになったらほかは目に入らない性格がそうさせていたように思えます。

 

ただ第111話「夢一夜(1985年7月)」ではもう五代への気持ちをごまかせなくなり「好きと言いたい」「私は五代さんと結婚したい」と思ったことで「惣一郎さんを忘れなくてはいけない」という気持ちになったのでしょう。でもそう思ったことで逆に「惣一郎さんへの想いがウソになるのでは」という気持ちが強くなったように思います。

第117話「弱虫(1985年12月)」で八神が言った言葉で「惣一郎さんへの想いが真実だったのなら、今の五代さんに対する想いも真実」とこの思いを振り切れました。

第160話「桜の下で(1987年7月)」まで「惣一郎さんを忘れなくてはいけない」という思いは残りましたが・・

 

第153話「契り」で「私は世界中の誰よりも惣一郎さんが好きだった。惣一郎さんだけを見て、惣一郎さんの背中を追いかけて、惣一郎さんで心の中をいっぱいにして。しあわせ・・・だったわ・・・」と語るぐらいですから、惣一郎さんと結婚して半年で死別したショックは相当なものであったはず。通常より次に踏み出すのに時間がかかるのが普通だと思います。

物語の中では響子さんは惣一郎さんが亡くなって半年経った1980年11月頃に一刻館の管理人となり、その約6年後に五代からプロポーズを受け、1987年4月に結婚することになりますが、2013年のある会社での調査では離婚して再婚するまでの平均期間は4年、5年以内が78%だったそうです。響子さんは死別ですから五代くんと会って6年半で結婚なら特に長いわけではないのかもしれません。五代くんは会ったときは大学浪人生ですし・・

それもこれも早くから五代くんが響子さんの心の中に入りこみ、惣一郎さんがいない寂しさを埋めたからこそ。ふたりの出会いは本当に運命的なものだったのでしょう。

 ※ 死別して半年後に一刻館に来たというのは再婚禁止期間の関係もあったのかもしれません・・

 

 ※本記事にて掲載されている画像は「めぞん一刻高橋留美子小学館」より引用しております。