五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

めぞん一刻を考察して③~五代くんを襲った「惣一郎の影」~

先に書いた『響子さんは面倒くさい、イヤな女』で「響子さんは五代くんに手をつなぐこともできなかった」・・と書きましたが、実は五代くんの方が手さえ握ろうとしなくなっていました

骨折事件で五代を好きと認識し2度もキス寸前までいったふたりですが、それ以降、「契り」にいたるまでの間で五代くんが響子さんに迫ったのは「仲良き事は」で二階堂くんの本性を知らない響子さんから「二階堂さんの力になってください」とお願いされた時に手を握ったのみです。

当初、どさくさ紛れに何かとキスしようとしたり、触ろうとすることが多かった五代くんなので意外なぐらい少ないという印象です。なぜなのでしょう。ここはやっぱり「惣一郎の影」が関係しているのでしょう。

f:id:kitchan42:20200111155229j:plain

めぞん一刻 77話より

「春の墓」で響子さんが泣きながら「惣一郎さん・・どうして死んじゃったの?生きてさえいてくれれば・・こんな思いしなくてすんだわ・・・」と言ったのを聞き五代くんは「4年も経ったのに・・まだ忘れてないんだ・・」と思ってしまったこと。これがこの後の五代くんの行動に大きく影響したのではないかと考えています。

つまり、この時点でいちばんの恋敵は三鷹さんではなく「惣一郎さん」になってしまったのです。もし三鷹さんがいちばんの恋敵なら五代君はもっと積極的に響子さんにアプローチをするはずなのです。骨折事件により響子さんとの仲は進展し、その響子さんと一刻館というひとつ屋根の下にいるのだから・・

惣一郎さんが恋敵となると犬の名前、毎年のお墓参り、音無家とのつながりなど毎日のように惣一郎さんを意識せざるを得ませんでした。

f:id:kitchan42:20200111155420j:plain

めぞん一刻 100話より

さらに就職浪人となった五代くんは第100話「桜迷路」での「五代さんは五代さんだから・・五代さんなりにがんばってくださいね」という響子さんの言葉の意味が分からず、自分にふがいないと思いつつも「惣一郎さんにかなわない」「響子さんの支えになることができそうにない」という気持ちに支配されてしまいました。

そして「今も惣一郎さんのことを考えているのでは」と五代くんは響子さんに「惣一郎の影」を感じ怯え、疑心暗鬼になってしまったのでしょう。だから響子さんに迫るどころか手を握ることさえできなくなった・・・

 

このようになったのは、五代くんが優しくて人の気持ちを大事にすることもありますが、惣一郎さんの顔をなかなか見ることができなかったことが大きいと思っています。

五代くんは「惣一郎の影」「闇の中の顔」では音無家でアルバムや遺影で顔を見ようとしています。これ以降では「VS 乙女」で教育実習に行った女子高の卒業アルバムで探しています。でも顔を見ることができたのは「桜の下で」で結婚写真を見たときです。

見えない敵は厄介です。「契り」で五代くんが言ったように「でもおれ・・響子さんがどんな気持ちでその名前読んでいるかわからないから・・いつだって不安です」と日々の惣一郎(犬)さんにまで怯えるようになっていたぐらいですから。

 

ただどんな状況であれ五代くんは響子さんに「好きだ」「結婚したい」ともっと言ってあげなければいけなかったのです。あれだけ響子さんは五代くんに尽くしてくれているのだから・・。響子さんは自分が未亡人であることにかなり引け目があったのです。これだけでも自分から素直に気持ちを表すことをためらうものです。

 

最終的には「惣一郎の影」を響子さんに救ってもらった五代くん。優柔不断になったのは響子さんの思いを知らず勝手に誤解し間違った思いやりをしていたことが原因。でもそんな五代くんだから響子さんは好きになり、最後は響子さんを救えたのです。

 

※本記事にて掲載されている画像は「めぞん一刻高橋留美子小学館」より引用しております。