五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

彼女、お借りしますの感想と考察~千鶴の恋心を言動と行動から読み取る~(20巻②)

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彼女、お借りします 172話より

結局、気持ちを確認することもなくカフェを出た二人・・このまま帰るのかと思いきや、ここで和也がなんと「ご飯 行かない!?」と千鶴をランチに誘いました。

「ほかのお客さんの手前もあるし・・」とレンカノモードで返す千鶴でしたが、一転「まあ今更って感じだし・・」とその提案を了承。和也が勇気を振り絞った様子が見えたから・・と言いたいところですが、よくよく考えると千鶴としては知りたかった和也の気持ちを何も聞けずじまいだったわけで、この和也の提案は『渡りに船』だったのでしょう。

お洒落な店を探そうとする和也に対し、「あそこでいいじゃない」とサイゼリヤを指さす千鶴・・お金がない大学生らしい選択にこれこそ千鶴が心を開き素の自分を見せようとしている証拠と思いきや・・千鶴はなんとワインを注文し昼飲みを始めてしまいました。

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彼女、お借りします 173話より

大いにワインを嗜み、ぼーっとした表情を見せる千鶴。和也のTシャツロゴがイタリア語で「魚」という意味だと知り、ケラケラ大笑いするわけですが、そんな様子を見た和也の「いいのか?ランチとか・・」という問いには深い意味はないと語ったうえでこう口にします。

「お客さんが近所の同級生だった それだけの事」
「ただのお隣さんとのランチをさすがに瑠夏ちゃんにもとやかく言われる筋合いはない」

いやいや、プライベート感満載で一緒にランチしているのだから、瑠夏にとやかく言われる筋合いは大有りですよね!!わざわざ『ただのお隣さん』という言葉を使って自分の行動を正当化するところに千鶴の素直になれない性格と意外な策士ぶりが見て取れます。

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彼女、お借りします 173話より

その後もケーキを2つ注文して和也に驚かれる千鶴・・これまでの自分に厳しい千鶴とは大違いですね。そんな中、千鶴はタイミングを見計らっていたように本題ともいえる言葉を切り出します。

「あなた 私のこと 好き?」
「理想の彼女・・あれ 私の事でしょ?」

和也の告白めいた言葉を『自分のこと』と断言する千鶴。普段ならこれぐらいで酔うわけないのですが、この場は酒の勢いを借りたかったのでしょうね。だからサイゼリヤに行きたかった・・

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彼女、お借りします 173話より

一方でそんな和也の言葉を『辛そうにしている自分を見るに見かねて言ってくれた”仮初めの理想像”』と評する千鶴。もって回った言葉を使い、決して自分気持ちは言わないところは千鶴らしいですね。ただ下を向き話し始めたのはその仮定を否定する言葉・・

「でももし違うなら」
「色々変わってくるから・・」

みにの言葉も持ち出し、以前聞いた時はそんなことないって言ってたから・・ちゃんと確認したいと話す千鶴。32話時と違ってそうであってほしいという気持ちが溢れ出ている気がします。

しかしその問いに和也は言葉に窮してしまい、ケーキが運ばれてきた事もあって、そこで話は終わってしまいました。真剣な場面で水を差された形ですが、「やっぱそんなわけないよね」「忘れてっ」と話を終わらせようとする千鶴・・知りたいと逸る気持ちと同時に何か不安に思う気持ちがあることが伺えます。その理由は千鶴が口にした『色々変わってくる』から・・

そもそも『変わってくる』ということは和也の気持ちに向き合う用意があるということ拒否するなら特段変わる必要はないですからね。

ただそうなるとレンタル彼女を続けるわけにはいかなくなるし、女優についても再考せざるを得なくなる。続けるとしてもこれまでのお隣さん的な関係はできなくなり、場合によっては和也と距離を置かざるを得なくなるかもしれませんしね。そして何より瑠夏に対しての態度を決めなくてはならない・・らしくなく結論を後回しにするのだから、千鶴にとって『聞くのが怖い』とみるのが妥当でしょう。

しかし、ここで返事に窮する和也はいかがなものか!?告白めいた言葉を言ったのだから答えを用意しておくべきなのにこの体たらく・・この有り様じゃ千鶴もまどろっこしい聞き方にならざるを得ませんね。

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彼女、お借りします 174話より

そんなサイゼリヤからの帰り道、「小百合婆ちゃんに自分たちのこと言えたのか?」と確認したことで和也はこの前の言葉が千鶴に向けたものであると伝えることができました。

きっかけは千鶴の「最期まで嘘つき続けた2人って・・和おばあさんに軽蔑される」という言葉・・こんなセリフが出てくるのだから、和婆ちゃんが二人の真実を先に知る展開となるのは間違いなさそうですね。麻美の接触もありますしね。

「水原のことは俺が必ず守るからっ」という言葉に照れるも「どうやって?」「これで二人の関係は元通り」と話す千鶴。瑠夏がいるのに改めて素敵な彼女ができるまで手を尽くすと話し、わざわざ"最高の彼女"と言い直すのだから今をベターと考えるも色々な想いが複雑に絡み合っている・・そんな状況なのでしょうね。

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彼女、お借りします 174話より

千鶴が使った"仮初め"という言葉を否定する形で「ずっと前から好きだった」と伝えようとする和也・・ここでも邪魔が入り『好き』まで言えなかったわけですが、千鶴はちゃんと言葉の意味を理解したようで、ベッドにダイブしこう独白します・・

「馬鹿みたい・・っ 私・・」
「ああもう なんとかしないと・・」

自分を「馬鹿・・」と評す・・二人はあくまで『レンカノと客』、「最高の彼女を作らないと許さないから」と本心ではないことを口にした自分を悔いた訳ですね。『レンカノと客』は今の関係を壊さずに済むから・・『最高の彼女を作らないと・・』はそうなれば自分もあきらめられる・・という気持ちから出たのでしょうが、普段の千鶴の考え方からすると全くらしくない言葉ですからね。両想いとわかった千鶴の「なんとかしたい」は『現状打破』という理解でいいように思います。

 

両想いだった二人のうち千鶴だけが相手の想いを知ることとなったことで新たな展開に突入した訳ですが、ここで登場してきたのは元カノの麻美。二人の本当の関係を知る麻美が和婆ちゃんと接触しアドバイザーとなっているのだから、先に千鶴が心配していた「最期まで嘘つき続けた2人って・・和おばあさんに軽蔑される」という問題が目前となったわけです。

個人的には17巻の考察で述べたように小百合婆ちゃんも和婆ちゃんも二人が真の恋人関係ではないと気付いていると思いますが、もし和婆ちゃんが麻美から真実を聞いたとしても、それで千鶴の事を軽蔑するなんてことは100%ありえない話。レンカノの件があるにしろ、恋人関係でもない二人が1年以上協力する姿を見れば単なる嘘ではないと見抜くでしょうからね。少なくとも小百合婆ちゃんは二人の気持ちを事あるごとに確認していたし、和婆ちゃんは高齢者向けの出会いサイト立ち上げやアプリ開発を手掛けているぐらいだから、レンカノ"水原千鶴"に辿り着いていてもおかしくない。

千鶴が何かと気にしていたのは瑠夏ですが、何をしでかすかわからない麻美はラスボス感でいっぱい。麻美を嫌いにはなれない和也ですが、気持ちは完全に千鶴に向いている状況であり、今更麻美が和也への気持ちに気付いたとしても再び振り向かせることはできないでしょう。

動き出す二人の関係に麻美や海、瑠夏、墨がどう絡んでくるのか・・・物語のキーマンともいえる木部の活躍を含め、今後の展開が楽しみです!!

 

※ 本記事にて掲載されている画像は「彼女、お借りします/宮島礼吏週刊少年マガジン」より引用しております。