五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

五等分の花嫁の感想と考察(118話①)~零奈として育んだ五月の恋心は終わりを迎えて~

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118話 五月の思い出より

117話「五里霧中ランチタイム」では自分の心にモヤモヤしたものを感じ下田さんにまで相談していた五月。今話では「五月の思い出」と銘打ち、その結論が描かれました。失恋した中学生へかけた言葉を見る限り、モヤモヤした気持ちの正体は恋だったと認めたようですが、最後は「上杉君・・おめでとう」と気持ちに蓋をして自己完結で終わりました。

 

お守りに入れたのはプリクラ写真なのか!?

「あいつらに俺は不要だ」と風太郎が愚痴を零したのを聞いてから零奈はメッセージを書き、それをお守りに入れて風太郎の前に姿を現したのかなと思っていたのですが、ボート上での会話の中で何らかのメッセージを残すことを決断したようですね。”ごそごそ"は取り出した音と解釈していましたが、この時点でお守りの中に入れたようです。

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7話 今日はお休みより

お守りに紙を仕込む様子の後にスマホに貼られたらいはと風太郎とのプリクラ写真が描かれており、仕込んだ紙はその写真のようにも見えます。メッセージを書く間がないから手持ちのプリクラ写真を使ったということなのか!?てっきり言葉によるメッセージと思っていたのでもしそうなら意表を突かれた感じ。7話「今日はお休み」を見る限り、スマホに貼った分以外にももらっていたのかはちと疑問ですが・・

79話「シスターズウォー ニ回戦」での「・・君に私がわかるかな?」という問いから、「京都の子は四葉です」や「私(零奈)は五月です」のような明確な内容ではなく、「私は本当の京都の子を知っています」など匂わす的なことかなと思っていたのですが、プリクラ写真だとすると早々に五月だと明かしても良いと考えたことになりますね。そうなると79話の問いはあくまでお守りを開けて見たかを確認したかったということになります。

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ただ風太郎やらいはと一緒に撮ったプリクラ写真を入れたとなるとあたかも京都の子=五月と主張しているようです。四葉に成りすますことにもなるので、結果的には風太郎の誤解を増幅させ略奪するように見られても致し方ない・・

ただ入れたのがプリクラ写真であれメッセージを書いた紙であれ、四葉風太郎の言葉を聞いたうえでの行動なので、「二人をこのままにしていいのか?」という思いが強かったのは間違いなし。入れる時に「あなたは一人じゃない」と思っているのだから落ち込む風太郎に寄り添う気持ちもあったのでしょう。自分を認められるようになったらそれを開け、「私(五月)に連絡してください・・本当のことを教えますから」というつもりで入れたように感じます。

そう思う理由は想いの強さの違い・・五月は二乃と四葉のやりとりを見て五つ子の絆を確認した挙句、下田さんの言葉を否定・・事を荒立てる気はもちろんの事、モヤモヤした感情もなくなったようでした。風太郎への気持ちは恋だと認めた瞬間・・「好きになったのは間違いじゃなかった」「この気持ちを忘れない」とも思ったかもですね。

ただそんな思い以上に二人の想いの強さを感じ、本気度も覚悟も全然足りていなかったと悟ったように思えます。四葉からは「上杉さんをどれだけ好きなのか・・この思いの強さは負けてないから」、二乃からは「隙なんて見せたら私が彼を奪ってやるんだから」と聞かされたわけですからね。だから何も告げずに自分の気持ちに蓋をした・・

だからこの時は明確に好意を自分に向けたかったというより「自分のことも見て欲しい!」程度の気持ちだった・・このことにより一緒にいられる時間が作れたらいいな!と思っての行動だったのだろうと思います。

ただそのお守りは川に流されてしまいました。もし入れたのがプリクラ写真でそのまま持っていたのなら・・と考えてしまいますが、風太郎が四葉を好きになり始めたのは林間学校時に色々と助けられたからと思うので中身がどうであれ結果が変わることはなかったでしょう。それぐらい114話「最後の祭りが風太郎の場合②」での告白は動かしようのないものでした。 

・・PICKUP!・・

スマホにプリクラを貼ったのはいつ!?~

最後のページでは7話でらいは、風太郎と撮ったプリクラ写真がスマホに貼られていました。好意があったのなら以前からケースの裏側に貼っていたのかなとも思いましたが、どうも本体の裏側のよう・・そんなところに貼ったらどうやっても隠せませんね・・風太郎がスマホを借りようとするのを断り、手で隠したような描写もありましたが、二人が公然の仲となって以降でないと意味深すぎるので、今回の教室での顛末が終わってからケジメ変わりに貼ったものだと思っています。

 

五月はいつから風太郎に惹かれていたのかを再考

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118話 五月の思い出より

失恋した中学生へかけた言葉を通じて風太郎への気持ちは恋だったと描写されたわけですが、その直後に頭に浮かんだのは零奈としてメッセージ入りのお守りを渡すシーン。風太郎に対するけじめの言葉を言う前に思い浮かべたのだからこの時点ですでに好意があったということ・・

実際、好意が生まれたのはこれまでも触れたとおり30話「結びの伝説3日目②」で自分を見つけてくれたときだと思います。「七つのさよなら」編で家出した先が風太郎の家になったのも、話をするため夜の公園へ連れ出したのも、この回で風太郎への信頼度が増したからに他ならない。信頼度が増した原因は好意に他ならないでしょう。何気に31話「結びの伝説3日目③」では「私も四葉みたいにできるでしょうか?」とこぼしているのだから・・

ただ夜の公園での会話で風太郎から「俺は父親の代わりになろう」と宣言されてしまったことが好意の行方を左右する大きなポイントになったような気がします。「母の代わりとなってみんなを導く」という考えを後押しされた形だからその意を一層強くしてしまった・・110話「最後の祭りが五月の場合②」で風太郎から「間違いじゃない」と後押しされて変わったことをみても風太郎の言葉の影響力は絶大だったように感じます。

その直後に四葉から零奈姿になって風太郎とお別れするよう依頼された五月は”二人が両想い”と気付くはめになりました。今回、零奈としてお守りを渡すシーンを思い浮かべたのは、昔のままの本当の五月で接した時間だったからなのかもしれませんね。

風太郎に対する想いを押し殺そうともするなか、昔の五月を模した零奈への変装は素直に気持ちを表せる状況であり、風太郎と過ごしたあの時間は五月にとってかけがえのないものだった。そしてある意味その時が五月の気持ちの分岐点だったのでしょう。その後は四葉が京都の子だと気付くよう一肌脱ぐことに母親役としての意義を感じていたように見えることからもそう思います。

79話では思い出の地への修学旅行を前に一向に動きがない風太郎に焦りを感じ、再度、零奈姿で接触を図るも風太郎からは塩対応・・86話「シスターズウォー エキシビションマッチ」では感謝の意を告げられてしまいました。この時に零奈としての存在意義や風太郎との繋がりがなくなり、自分の中にぽっかり穴が開くような感覚があったのでしょう。91話「偶然のない夏休み」では男女関係に寛容になりつつあったのが警戒モードに逆戻りし、92話「秘密の痕」では風太郎を異性として意識していましたからね。

それ以降、五月は風太郎に勉強を見てもらいたい気持ちさえ伝えられなくなったように見えます。風太郎が学園祭の学級長用務で忙しいのは分かりますが、時間が取れるようになったら勉強を見て欲しいと言えば済むだけの事。結構図太く振舞っていた以前の姿と比べると大きな差異を感じました。

117話の五月を見る限り、自分の中にモヤモヤ感があることに気づきはあったものの、それは自分の本当の気持ちではなく姉妹が心配という気持ちから来るものだと整理していたようです。

ただ頭の中ではそう思っていても心の奥底にある想いから、上杉家と親密な関係も、らいはとの関係も、そして零奈として風太郎と秘密を共有することも嬉しく感じていたのだろうと思います。もしかしたら風太郎が姉妹の恋愛事で相談してくることもそうだったのかもしれませんね。好意と認めてしまったらそれは嫉妬となりますが、姉妹の母親役と位置付けていたのならそう考えてもおかしくはありません。

零奈(母)の死による「母の代わりになる」という呪いからは実父である無堂との決着で解放されましたが、同時に父親代わりだった風太郎との繋がりも途切れてしまった・・

111話「最後の祭りが五月の場合③」で五月は「お母さんに成り代わろうとして、いつの間にか自分とお母さんの境界線が曖昧になった・・」と話していました。風太郎から「俺は父親の代わりも・・」と言われたことはあらゆる面で五月に大きく影響していたのでしょう。

四葉を応援していた五月は二乃に「それは本当に自分自身の言葉なのか?」と言われていた母親モードで自分の恋愛感情にブレーキが効く状況、一方、変装した零奈モードは昔の五月に戻ったもので本当の自分の気持ちも出せる状況・・時折この区別がつかなくなり、不可解な行動や意味深な発言をしていたのだと整理しています。

 

※本記事にて掲載されている画像は「五等分の花嫁/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。