五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

五等分の花嫁の感想と考察(116話①)~三玖は四葉の背中を押すために悪あがきのふりをする~

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116話 五時間一部屋より

115話「五通りの朝」では四葉とそれ以外の姉妹の心情が描かれていましたが、今話は皆勤賞だったらしい五月も主人公の風太郎も登場せず、ただただ三玖と四葉がサシで話すだけの回でした。その内容はぎくしゃくした中でお互いの本音や想いをさらけ出すもので意味がある回だったとは思います。ところで冒頭の一花との電話での「! うん・・」「そっか」は風太郎への返事を迷っていると聞いたことでしょうか!?それとも二乃の話を聞いてのことだったのでしょうか!?

 

三玖のやりたかったこと

強風により電車が止まりカラオケで一夜を越した二人ですが、115話「五通りの朝」で四葉がいた岸壁は家から結構遠い場所だったのですね。あんな風が強いところで待ち合わせするのもおかしいし、カラオケルームでは四葉の方から話を切り出す感じでもなかったので彼女が呼び出したわけではない模様。つまり三玖はわざわざ四葉に会いに来たわけですね。背景にあるのは四葉が好意を隠して自分の恋を応援してくれていたからに他ならないでしょう!
 

「本気で横取りしようとしているみたい」

「本当はもっと話したいことがあったはずなのに」

四葉と同じジュースを頼み「四葉の真似はできても四葉にはなれない」と決めるも何を語るかは決めていなかった模様で、選曲が被るは・・四葉の演奏を中止してしまうは・・と慌てた様子でした。ただ悔しい気持ちはあれど横取りする気持ちはさらさらなく、踏ん切りはすでについている言葉です。

「怒ってはいる」

「私だったらフータローを困らせるようなことはしない」

四葉風太郎への想いを確認する言葉に「迷っていない・・」と断言され、「四葉の口からその言葉をハッキリ聞く日が来るなんて思わなかった」と語る三玖。一花から風太郎への返事を迷っていると聞き、両想いなのに姉妹に遠慮している姿がもどかしいと思って四葉の元へ現れたはずなのでさぞかしビックリしたことでしょう。

「私たちのことは気にしないで付き合っていいんだよ」

「なんて言うと思った?」

前の学校のことを気にしていることを見抜いたうえで続いた言葉は素直な気持ちが垣間見えるものでした。ここで「私たちのことは気にしないで・・」で終わっていたら四葉が救われることもなかったでしょうね。四葉に悪いと思いつつも「私たちのこの感情も受け止めて欲しい」と本音を語る姿はとても印象的でした。

「せめてもの抵抗」

「絶対に背中を押してなんてあげない」

「恋愛で私たちは敵でも仲間でもない」と二乃の言葉を借りて続けた言葉は、字面とは違って"無駄な気づかいは不要"と四葉の背中を押すものでした。三玖のからかうような表情は初めて見た気がしますね。「行き場を無くした私たちの怒りをどうか受け止めて」と言う心の声がありましたが、怒りの矛先は四葉でも風太郎でもなく自分に対してでしょうか!?いろいろな思いが渦巻くのが恋愛事・・三玖が伝えたかったこの想いは四葉の心にちゃんと届きました。

巷では残り少ない話数の中でこのやりとりを描く必要があるのか?というコメントも多く、私も初めはそう思いましたが、数回読み返すと印象が変わってきました。

四葉に張られた伏線にほぼ関与していない三玖なので内容的にはこのようにならざるを得なかったでしょうが、やり場のない気持ちをぶつけながらも彼女が交わした言葉のすべては四葉を想う気持ちに溢れており、妹への気遣いが詰まった名言ばかりだったと思います。交渉人"三玖"は大成功でした!!

 

三玖の恋のエピローグ

105話「最後の祭りが三玖の場合①」で心の中で語った「この恋の成就が不可能だって私は知っている」の理由は「なんとなくわかっていたけど・・」と言う言葉はありましたが回収までには至りませんでした。風太郎の後ろ姿を思い浮かべながらの言葉なので風太郎の態度を見てそう思ったのは間違いないですが、四葉を気にかけていたとまでは気づいていなかったように感じました。そのような描写自体ないですしね。この件は作者的に特に回収の必要はないのでしょう。

「私だったら風太郎を困らせるようなことはしない」という発言は四葉を想っての言葉だったのでしょうが、少々困らせたり迷惑をかけたりするぐらいが恋愛面では必要なこと・・そうすれば風太郎の気も今よりは引けたのでしょうが、彼女はいかんせん優等生過ぎました。

最後は風太郎との思い出を頭の中で浮かべつつリボンを海へ投げ捨て「私は私を好きになれたんだ」と言う言葉を胸に三玖の恋は終了しました。四葉が落第してくれたから風太郎に会えたとは言いにくいので言葉にせず心の中にとどめた形でしょうが、この自己完結による終了については賛否両論あるように思います。

また風太郎に恋することで「五人の中で私が一番落ちこぼれだから」という劣等感から解放され幾度となく成長した姿が描かれてきたわけですが、個人的には最後までモヤッとしたものが残りました。

その理由を考えるに・・自分が一番落ちこぼれだと思った具体的なエピソードが描かれていないからでしょう。2話「お宅訪問」で四葉が「私たちの中で一番頭がいい」と語っていたように傍から見れば落ちこぼれではない。4話「合計100点」を見る限り「私程度にできること・・他の四人もできるに決まっている」という卑屈な考えは自信の無さから来るものとはわかったのですが、なぜそういう思考に陥ったのかがわからない・・この点が三玖の問題や扱いが弱く感じた主因であり、この部分がきちんと描かれていればもっと思い入れが感じられたのにと個人的には思いました。

 

 ※本記事にて掲載されている画像は「五等分の花嫁/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。