五つ葉のクローバーの超主観的考察

~恋愛マンガの名作「めぞん一刻」を皮切りにラブコメ漫画の気になった点を超わがままに考察しています!~

めぞん一刻を読み返して(8巻)

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めぞん一刻 77話 及び 83話より

■■ 第75話 スーツでおつかい
母が風邪をひき、急遽実家で世話することになった響子。しかし、両親の引き止めによりなかなか帰ってこない響子を心配する五代。「一刻館の枕でなきゃイヤ」と帰ろうとする響子だが、結局、五代が枕を持って来ることに。スーツ姿で響子の実家を訪れた五代は「恋人はいないの?」との母の問いに気持ちを伝えようとするが・・

【解説及び感想】
「好きな人いるの」との母の問いに五代くんは響子さんと断定できるような説明をするもトンチンカンな反応。響子さんのニブイところは親譲りと判明しました(笑)

響子さんは五代が好きでいてくれているということを親に知られても構わないと思っていたんですね。その方が再婚話も落ち着いて好都合と思ったのか?単に嬉しかったのか?

五代が持ってきた枕を抱きしめて「うちの親って、ほんっとにニブいんだから」とにっこりする響子さんを見ればわかりますよね。それももっとはっきりと言ってくれないとと思うぐらい・・そう嬉しかったと同時に再婚も考えているのです。

 

■■ 第76話 闇の中の顔
本命の女子高に合格した郁子ちゃんのお祝いに音無家を訪れる響子と五代。帰りが遅くなり結局ふたりは泊まることになったが、五代は未だ見たことがない惣一郎さんの顔が気になり確認すべく夜中遺影を見ようとするが・・

【解説及び感想】
夕食時「あんなさえない惣一郎おじさまと結婚しちゃったのよー」と言う郁子ちゃんに対し、「郁子ちゃんまだまだ子供だから、なかなか男の人の内面まで見えないのよねー」と笑って話す響子さん。響子さんの男を見る視点がわかりますね。さえないのは男を選ぶ基準に関係ないから五代くんなんですね(笑)

一方、五代くんは惣一郎さんがどんな男だったのか知るために夜中こっそり遺影を見ようとする有様。普通に見せてくれといえばいいのに・・・

※ 「(惣一郎さんの)どこがよかったのかなー、響子さん」と考える五代くん。未だ顔さえ見たことないことで「見えない敵(恋敵)」のような気になっています。第8話「惣一郎の影」で「死人は無敵だ・・彼女の中で理想像がどんどん増殖していく」と五代が思うシーンがあります。このとき五代は響子さんの中で・・と思っていますが、いつの間にか自分の中でも惣一郎さんの影が膨らんでいってるようです。

 

■■ 第77話 春の墓
惣一郎さんの命日に両親とともにお墓参りに行くも再婚話の再燃に警戒しすぎて惣一郎さんにお参りすることを忘れてしまった響子。惣一郎さんを思い出すことも少なくなったことに気づいた響子は改めてお墓参りに行き、今の心境を語り心の整理を・・

【解説及び感想】
「だけど 生きている人達が、だんだん私の中に入ってきている・・」「自然に忘れる時が来ても・・許してください」と惣一郎さんに報告する響子さん。人達ですので五代くんの他、三鷹さんも入れて話をしますが、このような心境になったのは五代という存在が大きくなり、再婚することになるかもしれないと思ったから。

そのあとの「惣一郎さん・・どうして死んじゃったの?生きてさえいてくれれば・・こんな思いしなくてすんだわ・・・」という言葉は自分がそんなことを考えていることが惣一郎さんに対する背任行為に思えたからこそ。

「自然に忘れるときが来ても・・許してください。今の私の素直な気持ちです」と最後に独白する響子さん。この時に「五代さんに結婚を申し込まれたら・・」とまだ受け身ですが考えたのではないでしょうか。

逆に響子さんの言葉と流した涙を見て「4年も経ったのに・・まだ忘れてないんだ・・」と思う五代くん。響子さんの気持ちを知らず、五代は少し遠くなったと感じてしまいました。

※ 第73話「がんばってくださいね」第75話「スーツでおつかい」で五代との結婚を頭に浮かべた響子さんは、その気持ちを惣一郎さんに報告しなければと思ったのでしょう。本気度がわかります。

響子さんの中では五代の存在が今後大きく膨らんでいくのですが、逆に五代くんはこの言葉を聞いて以降「惣一郎の影」が膨らんでいき苦しむことになります

 

■■ 第81話 雨に濡れても
久しぶりに一刻館にやってきたこずえに応対した二階堂。「ふたりは婚約間近」などと住人が嘘を吹き込んだことから二階堂の無神経な発言が炸裂。響子と五代の間がギクシャクしてしまう。

【解説及び感想】
「恋人のこずえさんが手作りの・・」ですねてみるも「だってそろそろ婚約するんでしょっ」の言葉に「婚約・・まさか・・あたしに黙って・・」と気が気でない響子さん。「別にあたしに断る必要はないわよね・・」と思いなおすも、こずえちゃんに電話する五代の姿に二階堂を使って妬かせようとする姿は一の瀬さんじゃないがカ~ワイイです。

そりゃそうですよね。惣一郎さんに五代くんのことを報告したばかりですから。

帰り道に響子さんに会った五代が「デマですよ」と言うのに対し「でも婚約してもおかしくない頃ですわね、確かに」との嫌味な返事。さすが響子さん(笑)

 

■■ 第82話 神経過微
こずえと二階堂の急接近に気が気でない五代は「二階堂と親しくするのはどうかと思って・・」と言ってしまう。その言葉をヤキモチと理解したこずえが「五代さんがヤキモチやいて・・・」と響子の前で言ったことからふたりの関係は険悪ムードに。

【解説及び感想】
「二階堂にのりかえるってのは納得いかん・・」と理由付けして言った言葉ですが、ヤキモチですよね、五代くん。響子さんがムッとするのは仕方ないところです。

こずえちゃんが二階堂に乗り換えたと一の瀬さんに聞いてまさかと思うものの、五代に「いってらっしゃい」と送るときの響子さんの笑顔・・なんかこわい・・

 

■■ 第83話 なんでもありません
「五代さんがヤキモチやいて・・」の言葉が頭から離れない響子。「(喧嘩しているのは)きみが悪いんだぞ」と言った五代の意味がわからない二階堂は詮索を始める。住人のヒントでふたりが好き合っていると気づいた二階堂は響子と五代に聞いてみるが・・

【解説及び感想】
「・・そんなに五代くん嫌うことないじゃない」「だって・・」「しょうがないじゃない」「しょうがないもんですか」という一の瀬さんと響子さんの会話。これって五代くんと「好きあってる」って認めている会話ですよ~響子さん(笑)一の瀬さんもこの返答に満足そう・・

公園で「こずえちゃんと別れたら、本っ当にぼくのものになってくれるんでしょうね」と五代がいう姿を思い浮かべ「なんでそうなるのよ」「そんなこと・・五代さんがこずえさんと別れてからの話だわ・・」と独白し、『五代のアホ』と地面に足で書く響子さん。でも五代くんがこんなことを言ったことはないですよね。じゃ、こずえちゃんと別れたら響子さんは五代のものになるの?響子さんの願望がでた瞬間でした。最後は足で消すところは、気持ちをごまかしていますがね。

※ 「こずえちゃんと別れたら、本っ当にぼくのものになってくれるんでしょうね」という言葉は実際のところ五代くんは言っていないのですが、第67話「落ちていくのも」での響子さんと一の瀬さんの会話の中で「こずえちゃんと別れたからといって、あんたがなびいてくれるとは限らないのにね・・」「別れ話ときまったわけじゃないでしょ・・」というやりとりがあります。響子さんは前話のこともあり、この言葉を思い出したんでしょうね。

そしてこの気持ちが響子さんの本心なのです。いくら五代くんのことを好きでもこずえちゃんがいる限り公認の恋人にはなれない。この気持ちがあるから今後、素直に「好き」だとも言えなくなり、自分ではなく五代が自分のことを好きだからというふうにごまかそうとするのです。

※ 第81話から今話まで二階堂くんがふたりの間をかき回し、響子さんにこの気持ちを言わせるように導いています。二階堂くんを登場させる意義だったのかもしれません。

 

■■ 第84話 スクランブル・キッド
テニススクールを見に来ていた二階堂が響子を困らせていると聞き、三鷹は諭そうとするが逆に丸め込まれてしまう。音無家で義姉から指輪を預かった五代はテニススクールで響子に渡そうとするが、それを見ていた三鷹は二階堂の言葉に意味深と思ってしまい・・

【解説及び感想】
二階堂くんの「もしや管理人さんと三鷹さんは、恋人同士なのではありませんか?」発言に大声で否定する響子さん。普段ならここまでリアクションしませんので五代くんとともに二階堂くんに手を焼いていたのでしょう。でもこれで丸め込まれる三鷹さんも・・・

三鷹さんが「音無さん、この頃おかしいですよ」「・・・たまにお誘いしてもなかなかOKしてくださらない」という場面があります。一の瀬さんが言ったとおり二階堂が入居し、確かにバタバタしていたのでそう思い込んで読んでしまいますが、だからといって五代くんならともかく二階堂のことが理由でなかなかOKしなくなるとは考えにくいと思います。

実際、作中第99話「バラ色の人生」まで二人だけで会う、つまりデートやテニススクール帰りのお茶などのシーンはありません。響子さんは五代に「好き」という感情を抱いて以降、三鷹さんとの距離を意識的にこれまでより置くようにしていたのかもしれません。

 

  ※本記事にて掲載されている画像は「めぞん一刻高橋留美子小学館」より引用しております。